この記事の要点
- 工事中に近隣から苦情が出たら、まず契約した業者の現場担当者に連絡し、作業の中断や工程の変更ができるかを確かめます。
- 業者の対応で収まらないとき、近隣の人は市区町村・都道府県の公害苦情相談窓口(総務省 公害等調整委員会の案内)に相談できます。
- 外壁塗装の臭いや騒音は、法令の基準値の超過だけでは判断できません。契約前に、連絡先・音の出る時間帯・苦情への対応を業者に聞いて書面に残すのが現実的な備えです。
近隣からの苦情について、契約前に業者へ確かめる6項目
外壁塗装は、高圧洗浄の水、塗料の臭い、塗料やミストの飛散、足場の組立・解体の音が、近隣に届きやすい工事です。苦情が出てから窓口を探すと対応が遅れるため、契約の前に次の6項目を業者に聞き、答えを書面で残します。業者の適否を決める表ではなく、聞き漏らしを防ぐための項目です。
| 項目 | 業者に聞く言葉 | 答えの読み方 |
|---|---|---|
| 苦情の連絡先 | 「工事中に近隣から連絡が来たとき、受ける担当者の氏名と電話番号を教えてください」 | 現場の担当者の氏名・電話番号と、連絡のつく時間帯を書面で受け取ります。 |
| 臭いが出る工程 | 「臭いが強く出る工程はどれですか。使う塗料は溶剤系ですか、水性ですか」 | 塗料の種類は見積書の塗料名で確かめ、臭いの強さの違いは塗料の製品情報・安全データシートで業者に示してもらいます。このサイトでは、溶剤系と水性の臭いの強弱を比べた公的な資料は確かめられませんでした。 |
| 飛散を防ぐ備え | 「塗料の飛散を防ぐ養生とネットは、どこまで張りますか。風が強い日は作業しますか」 | 飛散防止の備えは高圧洗浄・養生・飛散防止ネットの見積の見方の行と照らし、見積書に項目があるかを見ます。 |
| 音の出る時間帯 | 「足場の組立・解体や高圧洗浄は、何時から何時までですか」 | 始める時間と終える時間を書面に残します。自治体の条例の規制は確かめていないため、業者に自治体の決まりを確認してもらいます。 |
| 苦情が出たときの対応 | 「苦情が出たら、作業の中断や工程の入れ替えに応じてもらえますか。施主への報告はいつですか」 | 応じる範囲と報告の時期を聞きます。これを義務づける条文は確かめられなかったため、書面に残すことが頼りです。 |
| 近隣に損害が出たとき | 「近隣の車や外壁に塗料が付いたときの対応と、保険の有無を教えてください」 | 工事中の事故・飛散の補償と賠償責任保険の確認点で、民法の定めと保険の確かめ方を確認します。 |
着工前の近隣あいさつを誰が行うか、苦情の窓口を契約書に書く例は外壁塗装の近隣あいさつは誰がいつ行うかにあります。
業者の対応で収まらないとき、近隣の人が相談できる公的な窓口
総務省の公害等調整委員会は、暮らしの中の公害でお困りの方の窓口として、都道府県や市区町村に設置されている「公害苦情相談窓口」を挙げています。同委員会の説明は次のとおりです。
- 窓口での相談のほか、電話や手紙でも受け付け、相談は無料です。
- 窓口は事実関係の調査を行い、公害の現象が認められた場合には、発生源者に対して改善措置の助言等を行うなどして解決を図ります。
- 相談の際には、公害の原因、程度、被害状況等を伝えます。
- 生活騒音など、苦情相談の内容によっては、地方公共団体が発生源者に対して改善指導等ができない事案もあります。
- 当事者間の対立が深刻な場合や損害賠償が問題の中心になっている場合など、公害苦情相談で解決できないときは、公害紛争処理の制度を利用できます。
この窓口は、苦情を言う近隣の人が使うものです。施主は、近隣から「役所に相談する」と言われたときに、窓口があることと、業者へ原因と状況を伝えて対応してもらうことが先になる点を知っておくと、慌てずに済みます。出典: 総務省 公害等調整委員会「公害苦情相談」(確認日 2026-10-12)。窓口の一覧は同委員会の公害苦情相談窓口のページにあります。
同委員会の令和6年度の公害苦情調査では、全国の受付件数66,931件のうち、発生原因が「工事・建設作業」の苦情が13,134件(19.6%)で最も多くなっています。これは建設工事全体の件数で、外壁塗装だけの件数ではありません。出典: 総務省 公害等調整委員会「令和6年度公害苦情調査 概要」(確認日 2026-10-12)。
臭い・騒音に関する法令で、確かめられた範囲
- 公害の定義: 環境基本法第2条第3項は、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、騒音、振動、悪臭などによって、人の健康または生活環境に係る被害が生ずることを「公害」としています。
- 悪臭: 悪臭防止法は、工場その他の事業場における事業活動に伴って発生する悪臭について必要な規制を行うことを目的としています(第1条)。規制する地域は、都道府県知事(市の区域内の地域は市長)が指定します(第3条)。外壁塗装の現場に、この規制がかかるかどうかは、条文から読み取れませんでした。
- 騒音: 騒音規制法の「特定建設作業」は、建設工事として行われる作業のうち、著しい騒音を発生する作業で政令で定めるものです(第2条第3項)。政令の別表第二には、くい打機、びょう打機、さく岩機、空気圧縮機、コンクリートプラント、バックホウ、トラクターショベル、ブルドーザーを使う作業が挙げられ、塗装や足場の組立は載っていません。
したがって、このページで確かめた範囲では、外壁塗装の臭いや騒音を、法令の基準値の超過かどうかで判断できるとは言えません。基準を満たしていても、近隣から苦情が出ることはあります。だからこそ、契約前に連絡先と対応の約束を書面にしておくことが現実的な備えになります。出典: e-Gov法令検索「環境基本法」「悪臭防止法」「騒音規制法」「騒音規制法施行令」(確認日 2026-10-12)。
このページでできないこと
外壁塗装の工事中の近隣苦情の件数、溶剤系塗料と水性塗料の臭いの強さの違い、苦情が出たときの責任の分け方は、公的な資料で確かめられませんでした。業者の近隣対応が適切かどうか、見積が高い・安いかの判定はできません。塗装工事は市場単価で積算され、国の標準歩掛りが公的に存在しないため、日額から1平方メートルあたりの単価も出しません。契約前に確かめる制度全体は契約前に確かめる制度の早見表、契約や勧誘で困ったときの公的な窓口は見積に迷ったときの公的な相談窓口にあります。
よくある質問
工事中に近隣から臭いの苦情が出たら、最初にどこへ連絡すればよいですか
まず契約した業者の現場担当者に連絡し、作業を止めるか、工程や時間帯を変えられるかを確かめます。業者の対応で収まらないとき、近隣の人は、市区町村または都道府県の公害苦情相談窓口に相談できます。総務省の公害等調整委員会は、窓口での相談は無料で、電話や手紙でも受け付けるとしています。
外壁塗装の工事の騒音は、騒音規制法の届出が必要ですか
このページで確かめた範囲では、必要とは言えません。騒音規制法の特定建設作業は、政令の別表第二に挙げられた作業で、くい打機・さく岩機・バックホウなどを使う作業が並び、塗装や足場の組立は載っていません。ただし、自治体の条例や個別の事情は確かめていないため、契約前に業者へ、自治体への届出が要るかを聞きます。
近隣の苦情への対応は、業者が必ずしてくれますか
このサイトでは、業者に苦情対応を義務づける条文は確かめられませんでした。契約前に、苦情の連絡を受ける担当者と連絡先を聞き、見積書の備考か契約書の特約に書いてもらうのが確実です。書き方の例は近隣あいさつのページにあります。
