労務単価のもとになる調査の概要
公共工事設計労務単価(国が公共工事の工事費を見積もるときに使う、職種ごとの1日分の賃金の水準)は、公共事業労務費調査という賃金の実態調査をもとに決まります。国の令和8年2月17日の公表資料は、調査の目的と方法を次のように示しています。
| 項目 | 公表資料に書かれていること |
|---|---|
| 調査する機関 | 農林水産省と国土交通省 |
| 調査の始まり | 昭和45年から、毎年定期的に実施 |
| 調べる内容 | 公共事業等に従事した建設技能者への賃金の支払い実態 |
| 対象の工事 | 両省が所管する直轄・補助事業等のうち、令和7年10月に施工中で、1件当たり1,000万円以上の工事から無作為に抽出 |
| 調査対象の人 | 対象工事に従事する51職種の建設技能者 |
| 調査票の作り方 | 請負業者(元請会社と協力会社)が、賃金台帳から転記するなどして作成 |
| 確認の方法 | 調査票の記載内容を照合・確認して、賃金の支払い実態を把握 |
| 単価の決め方 | 有効な標本を所定労働時間内の8時間当たりに換算し、都道府県別・職種別に集計した結果をもとに決定 |
賃金台帳は、労働基準法により会社(使用者)が作成して保存することが義務付けられている帳簿です。つまり、労務単価は実際に支払われた賃金の記録をもとに作られています。出典: 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(確認日 2026-10-04)。
令和7年10月調査の規模(地方別)
有効工事件数は、未着工や完了などで無効になった工事を除いた件数です。有効標本数は、賃金台帳の不備などによる不良標本を除いた、賃金データの人数です。
| 地方連絡協議会 | 有効工事件数 | 有効標本数 | 1件当たりの標本数 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 745件 | 7,468人 | 10.0人 |
| 東北 | 1,150件 | 10,435人 | 9.1人 |
| 関東 | 1,884件 | 16,479人 | 8.7人 |
| 北陸 | 884件 | 7,373人 | 8.3人 |
| 中部 | 1,070件 | 8,732人 | 8.2人 |
| 近畿 | 1,208件 | 11,053人 | 9.1人 |
| 中国 | 954件 | 7,905人 | 8.3人 |
| 四国 | 746件 | 5,553人 | 7.4人 |
| 九州 | 1,107件 | 8,019人 | 7.2人 |
| 沖縄 | 283件 | 2,653人 | 9.4人 |
| 全国計 | 10,031件 | 85,670人 | 8.5人 |
全国では、有効工事件数が10,031件、有効標本数が全職種で85,670人です。「1件当たりの標本数」は、標本数を工事件数で割った本サイトの計算で、公表資料にある数字ではありません。
標本が足りない職種は単価が設定されない
公表資料によると、令和8年3月適用では、建築ブロック工について十分な有効標本数を確保できず、単価の設定に至りませんでした。標本数が多い調査でも、職種と都道府県の組み合わせによっては、データが十分に集まらないことがあります。
塗装工日額を読むときに押さえること
- 調査の対象は、公共事業等の工事で働いた職人の賃金です。民間の住宅リフォームの支払額を直接調べた数字ではありません。
- 調査の時点は令和7年10月です。令和8年3月適用の単価は、この時点の賃金の実態を反映しています。
- 調査対象は1件1,000万円以上の工事に限られます。個人住宅の外壁塗装のような小さな工事は、調査対象の母集団に入っていません。
- 塗装工は51職種のうちの1つです。塗装工の標本が都道府県ごとに何人かは、公表資料の本文からは確認できませんでした。
調査に使われた工事の件名と元請会社名は、各地方連絡協議会の事務局(国土交通省の地方整備局など)で閲覧できます。割増対象賃金比は国土交通省のホームページでも閲覧できる、と公表資料にあります。
日額の構成は労務単価の構成と割増賃金の積算式、日額に含まれない費用は塗装工日額に含まれるもの・含まれないもの、令和8年3月の改定の内容は令和8年3月改定についてで確認できます。
このページでできないこと
このページは調査の仕組みを説明するもので、自宅の外壁塗装の見積が適正かどうかは判定できません。塗装工の都道府県別の日額は都道府県別一覧で調べられます。