塗装工の労務単価から1㎡あたりの労務費を出せない理由

塗装の労務単価(日額)は、1㎡(m2・平米)あたりの金額には直せません。国の積算基準は、塗装を1人1日の作業量ではなく、㎡あたりの価格(市場単価)で見る定めだからです。見積の㎡単価と県の塗装工日額を、割り算や掛け算でつなげない理由も、同じ基準の文言で説明します。

足場上で住宅の外壁をローラー塗装する作業風景

見積の㎡単価が高いか安いか確かめたいときは、㎡に直さず、見積の人件費に人工(作業員の延べ人数)と日当が書かれているかを見てください。書かれていれば見積の人件費部分を県の日額と照らす手順表で、その日当を県の塗装工日額と比べられます。

結論(日額から1㎡あたりの労務費を作れない根拠)

県ごとの塗装工日額は、人を1日(8時間)働かせたときの賃金の単価です。ここから1㎡あたりの労務費を出すには、1人が1日で何㎡塗れるかという作業量の基準(歩掛り)が要ります。ところが国土交通省の積算基準は、公共建築の塗装にこの歩掛りを使わず、㎡あたりの価格(市場単価)で見る定めです。このため、日額を㎡数で割った数字を裏付ける記載は、この積算基準の塗装の節にありません。

積算基準が塗装について定めていること

国土交通省官庁営繕部の「公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)」は、工事の種類ごとに、標準歩掛り・市場単価・単位施工単価のどれで価格を決めるかを節ごとに定めています。第17節「塗装」の一般事項は次のとおりです(確認日 2026-10-10)。

項目基準の内容
価格の決め方表に載る細目工種は、市場単価を適用する
単価の単位多くの細目は㎡あたり。幅300mm以下の細い部材はmあたり
錆止め塗り現場1回塗りの単価
鉄鋼面・亜鉛めっき鋼面・鋼製建具面の仕上塗り錆止め塗りを含まない
木部・モルタル面・せっこうボード・けい酸カルシウム板面の仕上塗り素地ごしらえ(塗る前の下地調整)を含む

表の細目には、錆止め塗り、仕上げ塗り(EP塗り、DP塗りなど)、素地ごしらえがあります。どの細目も、標準歩掛りで価格を決める区分ではなく、市場単価で決める区分に入っています。

市場単価と労務単価は別のものです

同じ基準の総則は、市場単価を、元請業者と下請の専門工事業者のあいだの取引の調査結果にもとづく、単位施工あたりの価格と説明しています。中身は材料費、労務費、機械器具費などで、専門工事業者の諸経費も含みます。

一方、県別の塗装工日額(公共工事設計労務単価)は、基準の中で、歩掛りから価格を組み立てる「複合単価」の労務の部分に使う単価です。市場単価の側では、労務費が材料費などと一体になっているため、日額を足したり引いたりして㎡単価を作る形になりません。

県別の塗装工日額(労務単価)市場単価
単位1人1日(8時間)あたりの円㎡あたり、またはmあたりの円
含むもの賃金。現場管理費や一般管理費などの諸経費は含まない材料費・労務費・機械器具費・専門工事業者の諸経費
このサイトの扱い47都道府県の値を掲載実額は民間の有料資料にあり、掲載しない

見積の㎡単価に日額をどう使うか

外壁塗装の見積に書かれた㎡単価は、材料費・人件費・経費などを含んだ値です。県の日額で割ったり、日額に面積を掛けたりして労務費を取り出すことはできません。次のようにしておくと、数字を取り違えません。

見積に人工が書かれているときは見積の人件費部分を県の日額と照らす手順表を、書かれていないときは見積総額の引き直し計算例を見てください。

1㎡あたり労務費についてよくある質問

日額を1日に塗れる面積で割れば、1㎡あたりの労務費になりませんか

計算そのものはできますが、1日に塗れる面積は工程・塗料・足場・下地の状態で変わります。国が無料で公開している塗装の歩掛りも確認できていないため、面積を仮に置いた数字は載せません。

公共工事の㎡単価を、民間の外壁塗装の見積と比べてよいですか

市場単価は公共建築工事の積算のための単価で、民間の見積の適否を判断する基準ではありません。実額は有料の資料にあります。

屋根や付帯部分の塗装も同じ扱いですか

この基準の第17節は塗装の細目を並べたもので、屋根・付帯部分の個別の扱いは本ページでは確認していません。付帯部分の見積の読み方は、別ページ(付帯部の塗装は労務単価でどこまで比べられるか)で扱っています。

この数値でできないこと

本ページは、見積の㎡単価が適正かどうかを判断するものではなく、県の日額から㎡単価を計算するものでもありません。

出典: 国土交通省官庁営繕部「公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)」(mlit.go.jp・PDF)の総則および第2編第17節「塗装」。県別の日額はデータの出典を参照。

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日額から㎡単価を計算できるかという点は、外壁塗装の見積と地域係数のよくある質問の「日額から㎡単価を計算できますか」でも短く答えています。