見積を受け取ってから業者に聞くまでの確認順
- 見積を受け取ったら、項目を5群に分けて確かめる:項目別チェックリスト
- 工事をする県の塗装工日額を見て、人件費部分を照らす(このページ)
- 複数社の見積を同じ条件でそろえて比べる:複数社の見積の比べ方
- そろえた結果をもとに、契約前に業者へ聞く:契約前に業者へ聞く質問リスト
最初に、見積書に人工・日数があるかを見る
見積書の人件費にあたる行(労務費、手間賃、人工、日当など)に、職人の人数と日数が書いてあるかで経路が分かれます。書いてあれば経路Aで、書いていなければ経路Bで進みます。どちらの経路も、結果は労務単価の水準で見た参考値で、個別の見積の適正・不適正は判定しません。
| 経路 | 見積書の状態 | 使う数字 | 読み方のページ |
|---|---|---|---|
| A | 人数と日数(人工・日当)が書いてある | 県の塗装工日額×人数×日数 | 見積書の人工・日当の読み方 |
| B | 総額だけで、人件費の内訳が書いていない | 総額×人件費の割合(仮定)÷県の塗装工日額 | 人件費部分を県別に引き直す早見表 |
経路A:人工が書いてある場合の日額×人数×日数と見積金額の並べ方
- 見積書の人工(職人の人数×日数)を読み取ります。次の例は2人×3日(6人日)です。
- 工事場所の県の塗装工日額に、人数×日数を掛けます。
- 見積書の人件費の欄の金額と並べます。見積の欄が日額×人日より高くても、現場管理費や諸経費、時間外の割増が入っていれば差が出るため、入っている範囲を業者に確かめます。
| 県 | 塗装工日額 | 全国単純平均比 | 2人×3日(6人日) |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 30,100円 | -2.1% | 180,600円 |
| 東京都 | 36,500円 | +18.7% | 219,000円 |
| 大阪府 | 32,300円 | +5.0% | 193,800円 |
| 山口県 | 25,900円 | -15.8% | 155,400円 |
| 沖縄県 | 29,800円 | -3.1% | 178,800円 |
計算例:大阪府で「3人×5日」と書いてある場合
人数と日数は、計算の流れを見せるための仮定です。大阪府の塗装工日額32,300円(令和8年3月適用)に、人数3人と日数5日(15人日)を掛けます。
- 人日を出す:3人×5日=15人日
- 日額を掛ける:32,300円×15人日=484,500円
- 見積書の人件費の欄と並べる:たとえば欄が55万円なら差は65,500円、48万円なら差は4,500円です。
この484,500円は、県の塗装工日額だけで見た参考値です。見積の人件費の欄には現場管理費や諸経費、時間外の割増が入っていることがあり、差があっても高い・安いとは言えません。差があるときは、欄に入っている範囲を業者に確かめます。
経路B:人工が書いていない場合の総額×人件費割合の日額での割り方
- 見積の総額に、人件費の割合を掛けて、人件費部分の金額にします。割合は国が定めた数字ではなく仮定なので、30%・40%・50%の3通りで幅を見ます。次の例は総額100万円・40%(40万円)です。
- その金額を、工事場所の県の塗装工日額で割ります。労務単価の水準で見て、何人日分にあたる金額かが出ます。
- 見積書に書かれた工程の日数や人数の説明と、人日の数が大きく離れていないかを業者に聞きます。離れている場合も、不適正とは断定せず、含まれる範囲を確かめる材料にします。
| 県 | 塗装工日額 | 人件費40万円は何人日分か | 全国平均水準に引き直した総額(早見表・40%) |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 30,100円 | 約13.3人日 | 1,009,000円 |
| 東京都 | 36,500円 | 約11.0人日 | 937,000円 |
| 大阪府 | 32,300円 | 約12.4人日 | 981,000円 |
| 山口県 | 25,900円 | 約15.4人日 | 1,075,000円 |
| 沖縄県 | 29,800円 | 約13.4人日 | 1,013,000円 |
人日は「40万円÷塗装工日額」を小数第1位で四捨五入した値、右端の列は人件費部分を県別に引き直す早見表の総額100万円・40%の値です。同じ40万円でも、日額が高い東京都では少ない人日分、日額が低い山口県では多い人日分にあたります。これは地域による賃金水準の差を示すもので、作業量の標準を示すものではありません。
工事をする県によって、同じ計算でも日額が変わる
どちらの経路でも、日額は工事をする県の塗装工の値を使います。令和8年3月適用の塗装工日額(一般の塗装工の列)は、青森県27,400円、香川県27,500円、岐阜県32,300円、大阪府32,300円、神奈川県36,300円です。同じ人数・日数でも、青森県と神奈川県では日額に8,900円の開きがあり、労務費の目安も変わります。各県のページで全国の中での位置を確認してください。
2つの経路で共通して確かめること
- 労務単価には、現場管理費・一般管理費等の諸経費、時間外の割増賃金が含まれません(塗装工日額に含まれるもの・含まれないもの)。
- 見積の人件費の欄に諸経費が入っているか、別の行に分かれているかを確かめます(見積書の現場管理費・諸経費などの意味)。
- 「一式」で書かれている場合は、内訳を聞く順番に進みます(見積書の「一式」の内訳を業者に聞く順番)。
- 公共工事の単価と民間の見積が同じものかどうかは公共工事設計労務単価と民間の外壁塗装見積の違い、国の「労務費の基準値」に塗装が入っているかは標準労務費と外壁塗装:基準値に塗装は入っているかで、日額を1時間あたりに直して読むときの注意は塗装工の労務単価を1時間あたりで読むで確かめられます。
- 確認の全体の順番は見積を受け取った後に確かめる順番にあります。
出典と計算の扱い
塗装工日額と全国単純平均比は、国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」の塗装工(橋りょう塗装工ではありません)の値で、47都道府県の塗装工日額 一覧と同じです。掛け算と割り算、人日の値は本サイトの計算です。一般の塗装工と橋りょう塗装工の区分は塗装工と橋りょう塗装工の違いで説明しています。
出典: 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(確認日 2026-10-09)。
見積の人件費の見方についてよくある質問
見積書に人工や日数が書いていないとき、人件費部分はどう日額と照らしますか
見積の総額に人件費の割合を掛けて人件費部分の金額にし、それを工事場所の県の塗装工日額で割って、何人日分にあたるかを見ます。割合は国が定めた数字ではなく仮定なので、30%・40%・50%の3通りで幅を見ます。
見積の人件費の欄が、日額×人数×日数より高いと問題ですか
それだけでは不適正とは言えません。現場管理費や諸経費、時間外の割増が欄に入っていれば差が出ます。入っている範囲を業者に確かめる材料にします。
同じ40万円でも、東京都と山口県で人日の数が違うのはなぜですか
塗装工日額が東京都36,500円、山口県25,900円と違うためで、40万円は東京都で約11.0人日、山口県で約15.4人日にあたります。地域による賃金水準の差を示すもので、作業量の標準を示すものではありません。
このページでできないこと
個別の見積が適正か高いかの判定はしません。塗装工事は国の標準歩掛り(1人が1日に塗れる面積)が公的に存在しないため、人日から㎡単価への換算もしません。
お住まいの県の日額は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。マンションの大規模修繕の見積に当てはめられるかは戸建てとマンション大規模修繕の見積での労務単価の地域差の使い分けで説明しています。賃貸アパートや貸家の見積の項目の分け方は賃貸アパート・貸家の外壁塗装の見積:国交省ガイドブックの事例で見る項目と費用の分け方にあります。管理組合が大規模修繕を発注する流れ(修繕委員会・総会決議・相見積)はマンション管理組合の大規模修繕の発注と見積の見方にあります。
次に読む2ページ
㎡単価と日額をつなげられない理由は、塗装工事の1㎡あたり労務費を労務単価から出せない理由で説明しています。
