一括下請負の禁止と戸建て外壁塗装(建設業法第22条)

元請が請け負った外壁塗装を丸ごと他社に出す行為について、条文・施行令・国土交通省の通知で確かめられる範囲を整理しました。個別の業者が適法かどうかは判断しません。

足場上で住宅の外壁をローラー塗装する作業風景

条文で決まっていること

条文確かめられたこと
建設業法第22条第1項建設業者は、請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない
同第2項建設業を営む者は、建設業者が請け負った建設工事を一括して請け負ってはならない(請け負わされた側の禁止)
同第3項多数の者が利用する施設・工作物の重要な建設工事で政令で定めるもの以外の工事で、元請があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、第1項・第2項は適用しない
同第4項発注者は、書面による承諾に代えて、元請の承諾を得て、国土交通省令で定める情報通信の技術を利用した方法で承諾の通知をすることができる(書面による承諾をしたものとみなす)
建設業法施行令第6条の4第3項の政令で定める重要な建設工事は、共同住宅を新築する建設工事

出典: e-Gov法令検索「建設業法」・同「建設業法施行令」(確認日 2026-10-14)。条文を読みやすいように言い換えて整理しています。

施行令が承諾を使えない工事として挙げているのは共同住宅の新築だけです。一戸建ての外壁塗装は、条文の上ではこれに当たらず、発注者があらかじめ書面で承諾した場合に禁止の適用を受けない工事の区分になります。承諾があれば何でも許されるという意味ではなく、承諾の要件は次の節のとおりです。

下請けを使うことと一括下請負の違い

国土交通省の通知(建設経済局長通知「一括下請負の禁止について」)は、次のような場合を、元請が下請工事の施工に実質的に関与していると認められるときを除いて、一括下請負に当たるとしています。

通知が一括下請負に当たるとする場合通知の例
請け負った工事の全部、またはその主たる部分を一括して他の業者に請け負わせる本体工事のすべて、または大部分を一業者に下請負させ、附帯工事のみ自ら施工する場合
請け負った工事の一部分で、他の部分から独立して機能を発揮する工作物の工事を一括して他の業者に請け負わせる戸建住宅10戸の新築を請け負い、そのうち1戸の工事を一社に下請負させる場合

通知は、一括下請負に当たるかどうかの判断を、元請が請け負った建設工事一件ごとに行い、一件の範囲は原則として請負契約単位で判断するとしています。外壁塗装の工事の一部の工程(足場の組立てなど)を専門の協力会社に出すことが、直ちに一括下請負になると通知が述べているわけではありません。当てはまるかは、下請に出す工事の質と量を見て個別に判断するものとされています。

出典: 国土交通省 建設経済局長通知「一括下請負の禁止について」建設省経建発第381号、平成4年12月17日(mlit.go.jp、確認日 2026-10-14)。通知に引用された条文は当時のもので、現行の条文は上の表のとおり、第3項に重要な工事の除外があります。

元請が「実質的に関与」するとは

通知は、実質的な関与を「元請が自ら総合的に企画、調整および指導を行うこと」とし、次の内容を挙げています。

あわせて通知は、単に現場に技術者を置いているだけではこれに当たらないこと、元請と直接的かつ恒常的な雇用関係にある適格な技術者が現場にいない場合は実質的に関与しているとはいえないことを述べています。誰が現場の責任者になるかは、外壁塗装を施工するのは誰かの確認点で、契約前に尋ねる項目として扱っています。

発注者の承諾について通知が求めていること

項目通知の内容
誰の承諾か建設工事の最初の注文者である発注者の承諾。住宅所有者から直接請け負った場合は、その住宅所有者
いつ受けるか一括下請負に付する以前に、書面で受ける
承諾を受ける義務を負う者請け負った工事を一括して他人に請け負わせようとする元請
違反した場合建設業法に基づく監督処分の対象。行為の態様や情状を勘案し、原則として営業停止の処分が行われるとされている

通知が求めているのは、一括下請負に付する前に、発注者から書面で承諾を受けることです。

契約前に業者へ尋ねるときの項目

次は条文や通知ではなく、当サイトの整理です。答えの良し悪しは判定しません。

確かめたいこと尋ね方の例残し方の例
工事を他社に出す範囲この工事のうち、協力会社に出す工程はどれですか工程ごとの担当を書面または控えに残す
元請の関わり方工程管理や品質の確認は御社の誰が行いますか担当者名と現場に来る頻度を残す
承諾を求められた場合全体を他社に出す場合の承諾書とは、どの内容ですか署名する前に、書面の文言と出す相手先を控える

窓口の会社を通す場合と塗装店へ直接頼む場合の見積の違いは依頼先別の見積の違いの確認点、契約前に聞く質問の全体は契約前に業者へ確かめる質問で扱っています。

労務単価で言える範囲と言えない範囲

言える範囲言えない範囲
公共工事設計労務単価は塗装工の日額で、都道府県別に公表されている。お住まいの県の水準を全国単純平均と比べる参考情報として示せる下請けが入ることで見積が高い・安いと言えるか、個別の契約が一括下請負に当たるか。日額から㎡単価を計算することもできない

お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。困ったときの公的な窓口は見積に迷ったときの公的な相談窓口にあります。

このページでできないこと

特定の業者や契約が一括下請負に当たるかの判断、業者の評価、法律相談、塗装業者の紹介・あっせんは行いません。

よくある質問

戸建ての外壁塗装を元請が丸ごと別の会社に出すことは、法律で禁止されていますか

建設業法第22条第1項は、請け負った工事を一括して他人に請け負わせることを禁じています。ただし同条第3項は、元請があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは適用しないと定めています。施行令第6条の4が承諾を使えない工事として定めているのは共同住宅を新築する工事で、戸建ての外壁塗装はこれに当たりません。

元請が実質的に関与しているとはどういう状態ですか

国土交通省の通知は、元請が自ら総合的に企画、調整および指導を行うことと説明しています。施工計画の企画、工程管理、安全管理、品質管理、下請間の調整、技術指導や監督が挙げられています。単に現場に技術者を置いているだけでは該当しないとされています。

発注者の承諾はいつ、どのような形で必要ですか

通知は、一括下請負に付する以前に書面で受けなければならないとしています。条文上は、発注者の承諾を得て電子的な通知で代えることもできます。承諾を求める義務を負うのは元請の側です。