電線に近い塗装作業で事業者に課される措置(労働安全衛生規則第349条)
労働安全衛生規則第349条は、架空電線に近接する場所で塗装などの作業をして感電のおそれがあるとき、事業者が次のいずれかの措置を講じるよう定めています。防護管の取付けは、このうち3番目の絶縁用防護具の装着にあたります。
| 順 | 措置 |
|---|---|
| 1 | 充電電路を移設する |
| 2 | 感電の危険を防止するための囲いを設ける |
| 3 | 充電電路に絶縁用防護具を装着する |
| 4 | 前三号の措置が著しく困難なときは、監視人を置いて作業を監視させる |
義務を負うのは「事業者」、つまり作業をする塗装業者や足場業者側で、施主ではありません。
出典: e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第349条(確認日 2026-10-15)。
電力会社の案内:申込みと費用
東京電力パワーグリッドの案内ページは、配電線の付近で足場などを使うときは必ず同社へ連絡するよう求めています。防護管の取付けは同社が指定するウェブ受付から申し込み、2018年4月から、建設工事で保安上の適切施工の義務を負う事業者が、設置作業に要した費用を負担するとされています。2025年10月1日からは、取付け・取外しサービスの契約約款が適用されています。
| 確かめる点 | 東京電力パワーグリッドの案内 |
|---|---|
| 申し込む人 | 建設工事等で適切施工の義務を負う事業者(約款では申込者と支払者は同一) |
| 費用 | 防護管等の設置作業に要した費用を事業者が負担 |
| 取付期間 | 最長2年間(更新可能) |
| 取付け後 | 申込者と防護管等管理者は取付状態を把握し、変化があれば直ちに同社へ連絡 |
電力会社ごとに申込先と運用は異なります。九州電力送配電は、2022年7月以降の申込みを防護管事業会社のサイトから事業者が行う方式に変え、2023年4月(目途)以降の申込みから費用を事業者が負担するとしていました。
出典: 東京電力パワーグリッド「建設工事等に伴う防護措置について」、九州電力送配電「建設用防護管取付に係る申込方法及び費用負担の変更について」(確認日 2026-10-15)。
何週間前から動くか
九州電力送配電の案内(2022年)には、防護管の取付けには、電話確認による受付完了後、工事調整・作業手続き等に標準で3週間(15営業日)程度を要するとあります。道路占用の申請が必要な場合や、悪天候などで取付希望日に間に合わない場合もあるとされています。東京電力パワーグリッドの案内ページでは、取付けまでの日数の記載を確認できませんでした。日数は電力会社と時期で変わるため、足場の組立て予定日の何週間前に申込みが必要かは、塗装業者に聞くのが確実です。
見積と日程で確かめる点
- 現地調査のとき、電線が足場に近いと業者が見ているか、見ていれば防護管の取付けを予定しているかを聞きます。
- 防護管の申込みを誰がするか、費用が見積のどの項目(足場、仮設、諸経費など)に入っているか、別途請求があるかを聞きます。
- 足場の組立て日が、防護管の取付け後の日付になっているか、取付けが遅れたときに工期や着工日がどう動くかを聞きます。
- 電線の持ち主が電力会社でなく、通信線や他の管理者の場合の窓口も、業者に確認します。
足場の項目の聞き方は足場の見積項目の確かめ方に、足場の安全基準は足場の労働安全衛生規則にあります。着工が遅れたときの契約書の確認点は工事日数と工程表の確かめ方で確認できます。
このページでできないこと
条文と電力会社の公開された案内の紹介にとどまります。個別の現場で防護管が必要か、費用がいくらかの判定はしません。個別の見積が適正かどうかの判定も、塗装業者の紹介もしません。お住まいの県の塗装工日額は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。
よくある質問
足場が電線に近いとき、防護管は誰が電力会社に申し込みますか
労働安全衛生規則第349条で感電防止の措置を講じる義務を負うのは、作業を行う事業者です。東京電力パワーグリッドの案内では、防護管の取付けは「建設工事等において保安上の適切施工の義務を負われる各事業者さま」が申し込み、設置作業の費用も事業者が負担するとされています(確認日 2026-10-15)。
防護管の取付けには何週間かかりますか
九州電力送配電が出した案内(2022年)では、電話確認による受付完了後、工事調整・作業手続き等に標準で3週間(15営業日)程度を要するとされています。電力会社ごとに運用は異なるため、東京電力パワーグリッドの案内には週数の記載を確認できませんでした。申込先の案内で確かめてください。
防護管の費用は施主が払いますか
東京電力パワーグリッドの案内は、申込者と支払者を同一とし、事業者が費用を負担するとしています。施主が直接払うとは書かれていません。ただし見積に防護管や足場の費用として含まれるかは、見積書で確かめる必要があります。
