都市計画法と施行令が決めていること
都市計画法第58条の2第1項は、地区計画の区域内(地区整備計画が定められた区域など)で、建築物の建築や土地の区画形質の変更、そのほか政令で定める行為をしようとする人は、着手する日の30日前までに市町村長へ届け出ると定めています。行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日などを届けます。届け出た内容を変えるときも、変更に係る行為の着手の30日前までに届出が要ります(第2項)。
外壁の塗装に関わるのは、施行令第38条の4第2号です。地区計画で建築物等の形態または色彩その他の意匠の制限が定められている土地の区域では、建築物等の形態または色彩その他の意匠の変更が、届出の対象に挙がっています。つまり、地区計画に色や意匠の制限がない区域では、この号による届出は要りません。
届出が要らない行為は、法第58条の2第1項ただし書と施行令第38条の5が定めています。通常の管理行為や軽易な行為、非常災害の応急措置、国や地方公共団体の行為などです。施行令第38条の5第4号の意匠の変更は、同条第2号に掲げる小規模な工作物(地下の水道管、物干場、旗ざおなど)の意匠の変更に限られます。住宅の外壁の塗り替えは、この条文の字面からは除外されていません。
届出を受けた市町村長は、行為が地区計画に適合しないと認めるときは、設計の変更など必要な措置をとることを勧告できます(第3項)。出典: e-Gov法令検索「都市計画法」第58条の2、e-Gov法令検索「都市計画法施行令」第38条の4・第38条の5(確認日 2026-10-20)。
板橋区と横浜市の公式案内
届出の対象や手続きの細部は、自治体の案内で確かめます。板橋区と横浜市の例です。
| 自治体 | 外壁の色の塗り替えの扱い | 期限・期間・添付図書 |
|---|---|---|
| 板橋区 | 地区計画のQ&Aで、届出が必要な行為に「建築物等の形態又は色彩その他の意匠の変更」を挙げ、具体例に看板の設置や外壁の塗り替えを含む。「外壁等の塗替えをしたい。届出は必要?」には「届出が必要です」と答える | 都市計画法第58条の2に基づき、行為着手の30日前までの届出を求める。標準処理期間は役所の開庁日で15日。景観協議が必要な規模のときは、協議済みの図面を添付する |
| 横浜市 | 届出が要るのは地区整備計画が定められた区域。「建築物等の形態又は意匠の変更」は、地区整備計画に「建築物等の形態又は意匠の制限」が定められている場合に届出が必要 | 工事に着手する日の30日前までに届出。添付図書は位置図、配置図、立面図。副本の返却までは約1〜2週間。窓口持参、郵送、電子申請に対応 |
横浜市は、地区計画に適合しない行為には設計の変更などの勧告ができるとし、建築基準法に基づく条例になっている部分に適合しないときは建築確認の審査が通らないとも案内しています。出典: 板橋区「地区計画 よくある質問 Q&A」(PDF)、横浜市「地区計画の区域内における行為の届出制度」(いずれも確認日 2026-10-20)。この2自治体の案内には、同じ色で塗り替える場合を対象から外すかどうかの記載がありません。他の自治体の扱いも含め、窓口で確かめます。
景観法の届出・風致地区の許可とは別の手続き
地区計画の届出は都市計画法第58条の2、景観計画区域の届出は景観法、風致地区の許可は都市計画法第58条に基づく条例と、根拠が違います。家が複数にかかるときは、それぞれの窓口に確認します。景観法の届出は外壁塗装の景観計画区域の届出に、風致地区は外壁塗装の風致地区の許可にまとめています。歴史的な町並みを守る伝建地区は外壁塗装の伝建地区の許可を見てください。
確かめる順番
- 家が地区計画の区域に入っているかを、市区町村の都市計画の窓口や公開されている都市計画図で確かめます。
- 入っている場合は、その地区の地区整備計画に、建築物等の形態または色彩その他の意匠の制限があるかを聞きます。ない場合、この号による届出は要りません。
- 制限がある場合は、外壁の塗り替え(同じ色の塗り替えを含むか)が届出の対象か、必要な図書(立面図など)と審査にかかる期間を聞きます。
- 届出は着手の30日前までです。塗装の着工日は、審査期間を見込んで決め、見積や契約書の日程に反映します。届出を誰が出すか(施主か業者の代理か)も業者に聞きます。契約前に聞く言葉は契約前に業者へ聞く質問リストにあります。
契約前に確かめる制度の一覧は制度の早見表、建築確認申請が要るかは建築確認申請のページにあります。
このページでできないこと
法令の原文と2自治体の案内の紹介にとどまります。お住まいの地域の届出の要否や、色が地区計画に適合するかどうかの判定はしません。要否は、お住まいの市区町村の窓口で確認します。個別の見積が適正かどうかの判定や、塗装業者の紹介もしません。お住まいの県の塗装工日額は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。
よくある質問
地区計画の区域で外壁を塗り替えるとき、届出は必要ですか
地区計画に建築物等の形態や色彩その他の意匠の制限が定められている区域では、意匠の変更が届出の対象になります。板橋区のQ&Aは外壁の塗替えに届出が必要と答えています。横浜市は、意匠の制限が定められている場合のみ届出が必要としています。お住まいの地区の地区整備計画を、市区町村の窓口で確認します。
地区計画の届出は、いつまでに出しますか
都市計画法第58条の2は、行為に着手する日の30日前までに市町村長へ届け出ると定めています。塗装の着工日は、この期間と自治体の審査期間を見込んで決めます。
地区計画の届出と景観法の届出は同じものですか
別の制度です。地区計画の届出は都市計画法、景観計画区域の届出は景観法に基づきます。家が両方にかかる場合は、それぞれの窓口で確認します。
