建退共の掛金と外壁塗装の見積の確認点

建設業退職金共済(建退共)の掛金が見積のどこに入りうるか、業者の加入を契約前にどう確かめるかを、公的資料から整理しました。労務単価の日額には含まれない点も説明します。

足場上で住宅の外壁をローラー塗装する作業風景

建退共とは何か、見積とどう関係するか

建退共(けんたいきょう)は建設業退職金共済制度の略称で、勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部が運営しています。公式サイトでは、事業主が現場で働く人の働いた日数に応じて掛金を充当し、その人が建設業で働くことをやめたとき、建退共から退職金が支払われる、業界全体の退職金制度と説明されています。住宅所有者が払う掛金ではなく、施工する会社(事業主)が納める掛金です。このため、見積では「どの行の費用に入っているか」が分かりにくくなります。

公的資料に書かれた制度の内容

項目資料の記載見積書・説明で確かめること
掛金の額日額320円(月額換算6,720円、21日分)業者の費用が、この制度の掛金とは別の行か、他の費用に含まれるか
納め方共済手帳に共済証紙を貼る方式と、退職金ポイントを事前に購入して就労日数に応じて充当する電子申請方式があるどちらの方式かを、業者が答えられるか
加入できる事業主建設業を営むすべての事業主が加入できる。建設業法の許可の有無は問わない加入は選べる制度なので、加入の有無を契約前に聞く
労務単価との関係国土交通省の「労務費に関する基準」で、労務費に建退共の掛金は含まれず、別に内訳を示して計上するとされている見積書の労務費の行に、掛金が混ざっていないか

表の「資料の記載」列の出典: 厚生労働省「建設業退職金共済制度に係る掛金助成」リーフレット(2023年3月版)、勤労者退職金共済機構「建設業退職金共済の制度と取組について」(PDF)、建退共公式サイト「加入条件」(いずれも確認日 2026-10-14)。掛金の額は上の資料の時点のものです。現在の額は建退共の公式サイトで確認してください。「確かめること」の列は、当サイトの整理です。

見積書のどこに入りうるか

国土交通省の書き方ガイドは、材料費・労務費・法定福利費(事業主負担分)・建設業退職金共済の掛金・安全衛生経費の内訳を記載する見積書を、令和7年12月の建設業法の改正後は作成が努力義務になったと説明しています(出典: 国土交通省「徹底書き方ガイド(運用編)」令和8年3月、確認日 2026-10-14。当サイトの法定福利費の明示と算出も参照)。住宅の見積書では、次のような書き方が考えられます。どれが正しいと決まっているわけではなく、当サイトの整理です。

労務単価には含まれないため、「労務費=塗装工日額×人数」の計算だけでは、建退共の掛金は出てきません(労務費に関する基準と見積の見方、塗装工日額に含まれるもの)。当サイトは、掛金を労務単価から換算して金額を示すことはしません。

契約前に業者へ確かめる手順

  1. 見積書の内訳に、建退共の掛金の行があるかを見る
  2. ない場合は、業者に「建退共に加入していますか。掛金は見積のどの行に含まれますか」と聞く
  3. 加入していると言われたら、建退共加入事業所検索で確認できる
  4. 職人の資格や経歴の確かめ方は建設キャリアアップシステム(CCUS)と見積にある

このページでできないこと

建退共に加入していない業者の見積が不適切だという判断や、掛金の金額が適正かどうかの判定はしません。個別の見積の適正も判定しません。お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。

よくある質問

建退共の掛金は、労務単価の日額に含まれていますか

含まれていません。国土交通省の「労務費に関する基準」は、公共工事設計労務単価と同じく技能者の賃金相当分を労務費とし、法定福利費の事業主負担分・安全衛生経費・建設業退職金共済制度の掛金は含まれず、別に内訳を示して計上するものとしています。詳しくは労務費に関する基準と見積の見方を参照してください。

業者が建退共に加入しているかは、どこで確かめられますか

勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部が、公式サイトに「建退共加入事業所検索」を設けています。業者名で調べるほか、業者に加入の有無を直接聞く方法もあります。加入は建設業を営む事業主が選べる制度で、加入していないことだけで見積の適否は判断できません。

見積書に建退共の行がないと、おかしいですか

おかしいとは言えません。令和7年12月に改正された建設業法では、建設業退職金共済の掛金などの内訳を記載した見積書の作成が努力義務になったと、国土交通省の書き方ガイドは説明しています。ただし、住宅の見積書の書き方は業者ごとに違うため、行がない場合は、掛金が別の行に含まれているのか、そもそも加入していないのかを聞いてください。