先に結論:基礎の塗装の範囲を決めた公的な基準は確認できませんでした
基礎の立ち上がりを塗るか、モルタルで補修してから塗るかを一律に決めた公的な基準は、確認した範囲にありませんでした。確認できたのは、基礎のひび割れ幅を見る国土交通省告示があること、その告示が塗り替えの基準ではないことの2点です。このページは、この2点を押さえたうえで、見積書のどこを見ればよいかを整理します。
国土交通省告示がひび割れ幅をどう区分しているか
平成12年建設省告示第1653号「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」は、基礎のひび割れについて、仕上げが乾式(板やボードなど、水を使わず取り付ける材料)か湿式(モルタルなど、水で練って塗る材料)かで区分を分け、幅0.3mm以上0.5mm未満と0.5mm以上を区分の境目に使っています。
| 基礎(乾式の仕上材)のひび割れ | 構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性 |
|---|---|
| 下の2区分に当たらないひび割れ | 低い |
| 複数の仕上材にまたがった幅0.3mm以上のひび割れ、または仕上材と構造材にまたがった幅0.3mm以上0.5mm未満のひび割れ | 一定程度存する |
| 仕上材と構造材にまたがった幅0.5mm以上のひび割れ、またはさび汁を伴うひび割れなど | 高い |
湿式の仕上材(モルタルなど)の区分は告示に別の表があります。表の条件は仕上材の種類と、ひび割れがどの部材にまたがるかで細かく分かれるため、ここでは乾式の表だけを抜き出しました。
出典: 国土交通省「平成十二年建設省告示第千六百五十三号 住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」第3 各不具合事象ごとの基準 (2)基礎(確認日 2026-10-15)。
この告示が塗り替えの基準ではない理由
告示の第2は、適用範囲を次の3つに限っています。
- 新築時に建設住宅性能評価書が交付された住宅で、指定住宅紛争処理機関にあっせん・調停・仲裁の申請が行われた紛争に係るもの
- 住宅を新築する建設工事の完了の日から10年以内に発生した事象
- 通常予測できない自然現象、居住者の不適切な使用などの特別な事由がない状態で発生した事象
つまりこの数値は、新築時の瑕疵(建物に本来あるべき品質が欠けていること)が争われる場面の参考基準です。築年数の経った住宅の外壁塗装で、基礎のひび割れを補修するか、塗装だけにするかを決める基準ではありません。幅の数字を見積の判断に直接当てはめず、現地で調べた業者に、そのひび割れをどう扱うかを説明してもらってください。
見積書で確かめる点
- 基礎(立ち上がり)や土台まわりの行が、外壁塗装とは別の項目として書かれているか、外壁の面積に含まれているか。
- ひび割れや欠けの補修が、塗装と別の行で、範囲と数量つきで書かれているか。「基礎塗装」とだけ書かれていないか。
- 補修の方法(モルタルの充てん、シーリングなど)が書かれているか。
- 基礎のひび割れを現地調査で見たか。見た場所と、見ていない場所はどこか。
- 数量の単位(㎡・m・箇所)が書かれているか。
- 地面に近い部分の塗装で、塗料名と塗る回数が外壁と同じ書き方で書かれているか。
ひび割れ補修の行の読み方はひび割れ補修の見積項目、現地調査の確認は現地調査で確かめる点、確かめる順番は見積を受け取った後に確かめる順番にあります。木部の土台まわりの傷みは木部の腐朽・シロアリが疑われるときの見積の分け方を参照してください。
このページでできないこと
お宅の基礎のひび割れが問題かどうか、見積の金額が高い・安いかの判定はしません。ひび割れの原因や構造への影響は、現地を調べた専門家の判断になります。
よくある質問
基礎のひび割れは、塗装で直りますか
塗装は表面を覆う工事で、ひび割れそのものを直す工事ではありません。補修の行(範囲・方法・数量)が塗装と別に書かれているかを、見積書で確かめてください。
ひび割れ幅0.3mmや0.5mmは、塗り替えの基準ですか
いいえ。国土交通省告示第1653号の数値は、新築時に建設住宅性能評価書が交付された住宅の紛争処理で、構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性を見る参考基準です。塗装や補修の要否を決める基準ではありません。
見積書に『基礎塗装』と書かれていれば、モルタル補修も入っていますか
書かれた項目名だけでは分かりません。塗装だけか、ひび割れや欠けの補修を含むか、数量の単位は何かを業者に確かめてください。
