建設の労災保険で事業主になる元請の会社
労災保険法第3条は、労働者を使用する事業を適用事業とすると定めています。建設の事業が数次の請負で行われるときは、労働保険徴収法第8条第1項が、その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを事業主とすると定めます。対象になる事業は、同法施行規則第7条が「労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業」としています。
外壁塗装の工事を請け負った会社が元請なら、その会社が事業主として保険関係を成立させ、下請として入る職人(労働者)も、この保険の対象に含まれます。見積書の経費に労災保険料が入っているかは見積書の法定福利費の内訳明示と見積書の経費の用語で扱っています。
出典: e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」第3条(労災保険法の本文)、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」第8条(徴収法の本文)、同法施行規則第7条(徴収法施行規則の本文)(確認日 2026-10-13)。
一人親方は労働者ではなく、特別加入の制度で扱われる
労災保険法第33条は、労働者ではない者のうち一定の者の業務災害・通勤災害などについて、同章の定めるところによるとしています。第3号は「厚生労働省令で定める種類の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者」を挙げ、同法施行規則第46条の17の第2号が、その事業に「土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業」を含めています。これが、建設の一人親方が特別加入できる根拠です。
厚生労働省は特別加入の申請書の様式と制度のしおりを公開しています。加入するかどうかは一人親方本人の手続によるため、発注側が見積書だけで加入の有無を知ることはできません。
出典: e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」第33条(法令本文)、「労働者災害補償保険法施行規則」第46条の17(法令本文)、厚生労働省「労災保険への特別加入」(確認日 2026-10-13)。
契約前に業者へ確かめる4つの点
| 確かめる点 | 根拠にする条文 | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| 請け負う会社が元請として保険関係を成立させているか | 徴収法第8条第1項、同施行規則第7条 | この工事の労災保険は、御社の保険関係で扱われますか |
| 施工に入る職人の雇用の形 | 労災保険法第3条 | 現場に入る職人は、御社の従業員ですか、下請の会社の従業員ですか |
| 一人親方が現場に入るか | 労災保険法第33条第3号、同施行規則第46条の17 | 一人親方が施工に入る場合、特別加入をしていますか |
| 加入の確認方法 | (条文に定めなし) | 加入していることを、書面やメールで回答してもらえますか |
最後の行は、当サイトの整理です。労災保険の加入を発注者が確かめる方法は、今回確かめた条文には書かれていません。口頭だけで終わらせず、回答を書面に残してもらいます。工事中の事故で近隣や建物に損害が出たときの保険は工事中の事故・飛散の賠償に備える保険の確認点で、足場で働く人の安全に関する定めは足場と労働安全衛生規則の確認点で扱っています。
このページでできないこと
個別の業者が労災保険に加入しているかの調査や、加入していない場合の発注者の責任の判断はしません。事故が起きたときの給付の内容や金額も、今回確かめた資料の範囲を超えるため示しません。個別の見積が適正かどうかの判定や、業者の紹介もしません。県ごとの塗装工日額は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。
よくある質問
工事中に職人が高所から落ちた場合、誰の労災保険が使われますか
建設の事業は、数次の請負で行われる場合、労災保険の事業主は元請負人のみとみなされます(労働保険徴収法第8条第1項、同法施行規則第7条)。外壁塗装を請け負った会社が元請なら、その会社が事業主として労災保険の保険関係を成立させ、下請の労働者もその保険の対象になります。会社が保険関係を届け出ているかどうかは個別の事情で変わるため、契約前に業者へ確かめます。
一人親方に頼むときは、労災保険に入っているか確かめる必要がありますか
労災保険は労働者を使用する事業が対象です(労災保険法第3条)。労働者を使用しないで建設の事業を行うことを常態とする一人親方は、特別加入の制度で保護される者として第33条と同法施行規則第46条の17に定められています。特別加入しているかどうかは本人の手続によるため、一人親方が施工に入る場合は、特別加入の有無を業者に聞いて書面で確かめます。
このページで業者の労災保険の加入を調べられますか
調べられません。個別の業者の加入状況や、見積書の金額が適正かどうかの判定はしません。確かめる項目と、その根拠になる条文を示します。
