4つの用語と塗装工日額の関係(早見表)
国の公共工事設計労務単価(塗装工日額)は職人に支払われる賃金の水準で、注記には、現場管理費(法定福利費の事業主負担分、研修訓練等に要する費用など)と、一般管理費等の諸経費は含まれないとあります。見積書でよく見る4つの言葉との対応は次のとおりです。
| 見積書の言葉 | 国の基準での位置づけ | 塗装工日額に含まれるか |
|---|---|---|
| 現場管理費 | 工事現場を管理運営するために必要な費用(共通仮設費以外) | 含まれない |
| 法定福利費 | 現場管理費の項目の1つ。社会保険料などの事業主負担額 | 含まれない(注記は、積算上は現場管理費等に含まれるとする) |
| 一般管理費 | 一般管理費等の1つ。受注者の継続運営に必要な費用 | 含まれない |
| 諸経費 | 国の公共建築の基準には、この名前の区分はない | 見積書ごとに含む範囲が違うため、行の中身で判断する |
工事費全体の区分の並びは見積書の費用の区分と労務単価の範囲にもまとめています。
国の基準は、共通費を「共通仮設費」「現場管理費」「一般管理費等」の3つに分けています。出典: 国土交通省「公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)」(mlit.go.jp・PDF、確認日 2026-10-07)。この基準は国の公共建築工事の積算用で、民間の住宅の見積書の書き方を定めたものではありません。
現場管理費とは
公共建築工事積算基準は、現場管理費を「工事施工に当たり、工事現場を管理運営するために必要な費用で、共通仮設費以外の費用」としています。共通費積算基準の表では、労務管理費、保険料、従業員給料手当、法定福利費、福利厚生費、事務用品費、通信交通費、補償費などが並びます。労務管理費は、現場の労働者の労務管理に要する費用で、安全・衛生や研修訓練に要する費用も含みます。
見積書では「現場管理費」の1行にまとめられることが多く、塗装工日額には含まれません。この行の金額は、塗装工日額と並べる相手ではなく、行の名前と内訳が分かれているかを確かめる対象です。
法定福利費とは
共通費積算基準では、現場管理費の法定福利費は、現場の従業員などの労災保険料・雇用保険料・健康保険料・厚生年金保険料の事業主負担額と、現場労働者の労災保険料の事業主負担額です。事業主負担額とは、会社が負担する社会保険料の分をいいます。
国土交通省は、下請契約でも法定福利費を的確に反映した請負代金を定めるよう求めています(出典: 国土交通省の通知、mlit.go.jp・PDF、確認日 2026-10-07)。見積書では、現場管理費の中に含まれる書き方と、別の行に分ける書き方があります。別の行なら、労務費と重ねて数えていないかを内訳で確かめられます。算出式と対象の保険は見積書の法定福利費の内訳明示で説明しています。
一般管理費とは
公共建築工事積算基準は、一般管理費等を「工事施工に当たる受注者の継続運営に必要な費用で、一般管理費と付加利益等からなる」としています。共通費積算基準の表では、一般管理費に役員報酬、本店・支店の従業員の給料、租税公課、保険料、契約保証費などがあり、付加利益等には法人税等、株主配当金、内部留保金、支払利息などが並びます。つまり、現場ではなく会社の運営にかかる費用と、会社の利益にあたる部分です。
見積書では「一般管理費」「利益」と書かれることも、次の諸経費にまとめられることもあります。塗装工日額には含まれません。
諸経費とは
「諸経費」は、確認した国の公共建築工事の2つの基準(積算基準・共通費積算基準)に区分名として出てきません。一方、公共工事設計労務単価の注記は、含まれないものを「一般管理費等の諸経費」と書いています。見積書の「諸経費」は、現場管理費と一般管理費をまとめた行にも、運搬費や廃材処分費なども入れた行にも使われ、含む範囲は見積書ごとに違います。
そのため、「諸経費」の行は名前だけでは日額と並べられません。何が入っているかを内訳か業者への質問で確かめ、賃金にあたる部分が入っていないか、現場管理費と二重に出ていないかを見ます。
見積書の経費の行で確かめること(3点)
- 労務費・人工の単価の行が、賃金だけの金額か、現場管理費などを含む金額か。賃金だけなら塗装工日額と、経費を含むなら日額に必要経費を加えた参考値と並べられます。
- 現場管理費・法定福利費・一般管理費・諸経費が、別々の行か1行にまとめてあるか。まとめてあるなら、含む範囲を聞く材料になります。
- 足場は塗装工の職種定義に含まれないため、労務費と別の行になっているか。
廃棄物の処理の費用が見積のどの項目に入るかは外壁塗装の廃棄物の処理の確認点、賠償責任保険の確認は工事中の事故・飛散の補償と賠償責任保険の確認点で確かめられます。
見積書の経費の用語についてよくある質問
見積書の「現場管理費」は、塗装工日額に含まれていますか
含まれていません。公共工事設計労務単価の注記は、現場管理費(法定福利費の事業主負担分、研修訓練等に要する費用など)と一般管理費等の諸経費は含まれないと書いています。日額は職人に支払われる賃金の水準です。
見積書の「諸経費」の行は、塗装工日額と並べて比べられますか
名前だけでは並べられません。「諸経費」は国の公共建築の基準に区分名がなく、見積書ごとに含む範囲が違うためです。内訳か業者への質問で中身を確かめ、賃金にあたる部分が入っていないか、現場管理費と二重に出ていないかを見ます。
経費の行が多い見積は、高いと言えますか
言えません。経費の行の数や金額だけでは、見積が適正か不適正かを判断できません。このサイトは経費の割合の目安も示していません。確かめる点は上の3点です。
窓口の会社を通す場合と塗装店へ直接頼む場合の見積の違いは依頼先別の見積の違いの確認点で扱っています。
この記事でできないこと
経費の行の金額が妥当かどうかを判定することはできません。経費の割合(率)の目安も示しません。国の基準が定める率は公共工事の規模や種類ごとの表で、民間の外壁塗装の見積に当てはめる根拠が確認できていないためです。個別の見積の適正・不適正の判断や、塗装工日額から1平方メートルあたりの単価の算出もしません。
関連するページは3つあります。日額の範囲の決まりは塗装工日額に含まれるもの・含まれないもの、見積の内訳の項目は外壁塗装の見積書の内訳の見方、よくある疑問はよくある質問にあります。
出典: 国土交通省「公共建築工事積算基準」(mlit.go.jp・PDF)、同「公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)」、農林水産省・国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価表」の注記(PDF)。確認日は2026-10-07です。
お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。たとえば東京都、愛知県、大阪府、福岡県のページがあります。主要12都道府県を1枚で見比べたいときは主要12都道府県の早見表も使えます。
