施主支給とは、契約書では「注文者が提供する資材」
施主支給は、法令の用語ではありません。建設業法は、注文者が工事に使う資材を提供する場合を契約書面の記載事項に挙げています。同法第19条第1項第10号は「注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め」を、書面に記載して署名または記名押印のうえ相互に交付するよう求めます。施主が塗料を買って渡すなら、この「内容及び方法」を契約書か見積書に書いてもらうことが、確かめの出発点です。
出典: e-Gov法令検索「建設業法」第19条(法令本文、確認日 2026-10-13)。
塗料が原因の不具合は、民法でどう扱われるか
民法第636条は、請負人が契約の内容に適合しない仕事の目的物を引き渡した場合でも、その不適合が「注文者の供した材料の性質」または「注文者の与えた指図」によって生じたときは、注文者は追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求、契約の解除をすることができないと定めます。ただし書きで、請負人がその材料や指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この制限は働きません。
つまり、施主が選んで渡した塗料の性質が原因の不具合は、業者に直しを求める根拠が弱くなる場合があります。一方、業者が塗料の不適当さに気づいていながら黙っていたときは別です。塗装の不具合が塗料の性質によるのか、下地処理や塗り方によるのかは、個別の現場で変わります。このページはどちらとも決めません。
出典: e-Gov法令検索「民法」第636条(法令本文、確認日 2026-10-13)。
契約前に書面で決める5つの点
| 決める点 | 根拠にする条文 | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| 渡す塗料の内容 | 建設業法第19条第1項第10号 | 製品名、色番号、缶数を見積書か契約書に書いてもらえるか |
| 渡す日と場所 | 同上(「方法」) | いつ、どこへ届け、受け取りの確認をどうするか |
| 塗料が原因の不具合の扱い | 民法第636条 | その塗料を業者が適当と見ているか、不適当と見る点があれば書面で知らせてもらえるか |
| 工事全体の不適合の責任 | 建設業法第19条第1項第13号 | 契約書の不適合責任の定めは、施主支給の塗料部分も含むか |
| 見積書の塗料の行 | 建設業法第19条第1項第10号 | 塗料の行は外れるのか、施工の手間は別の行に残るのか |
第19条第1項第13号は、工事の目的物が契約の内容に適合しない場合の責任や、その履行のために講ずる保証保険契約の締結その他の措置について、定めをするときはその内容を書面に記載するよう求めています。保証書の中身は保証書とアフター点検で契約前に確かめる点で、見積の塗料の行の読み方は塗り回数と塗料名の見積の確かめ方で、契約不適合責任と保険の関係はリフォーム瑕疵保険と外壁塗装で説明しています。
業者から施主支給を断られたとき・提案されたとき
施主支給を受けるかどうかは、契約の自由の範囲で業者が決めることで、法令に受け入れる義務は書かれていません。断られた場合も、その理由を聞いて書面やメールに残すと、あとで比べやすくなります。業者の側から施主支給を提案された場合は、見積書の塗料の行がどう変わるのかと、上の5点を同じ書面で確かめます。保証や責任の範囲を決めないまま、塗料だけを先に買って渡すことは避けます。
このページでできないこと
施主支給をした方が得か、どの塗料が適しているかの判定はしません。塗料の仕入れ値や、施主支給による見積の減額幅も、公的な資料で確かめられていないため示しません。個別の見積が適正かどうかの判定や、業者の紹介もしません。県ごとの塗装工日額は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。
よくある質問
施主が塗料を買って渡した場合、塗料が原因の不具合は誰の責任になりますか
民法第636条は、注文者が供した材料の性質や、注文者が与えた指図によって生じた不適合については、注文者は追完の請求、報酬の減額、損害賠償の請求、契約の解除ができないと定めています。ただし、請負人がその材料や指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは別です。どの不具合が材料の性質によるかは個別の事情で変わるため、このページでは判断しません。
施主支給をするとき、契約書には何を書きますか
建設業法第19条第1項第10号は、注文者が工事に使用する資材を提供するときは、その内容と方法に関する定めを契約書面に記載するよう求めています。塗料の製品名、数量、引き渡す日と場所、不足や不良があったときの扱いを、書面に残してもらいます。
施主支給にすると、塗料代の分だけ見積は下がりますか
塗料の仕入れ値や、施主支給で業者が見積をどう変えるかは、今回確かめた公的資料から確認できません。見積の塗料の行が外れるのか、施工の手間として別の行が残るのかを、見積書の行で業者に聞いて書面で確かめます。
