塗装の見積で見る4つの欄
見積書の塗装の行には、塗装面積、工程、塗料名、単価が並びます。塗装面積の根拠は見積書の塗装面積の根拠に、見積全体の内訳の読み方は見積書の内訳の見方にあります。このページは、塗装の行のうち工程と塗料名の書き方を、契約前に業者へ確かめる項目として整理します。
公共工事の仕様書は工程をどう書いているか
国土交通省官庁営繕部の公共建築工事標準仕様書は、塗装工事の章で、塗料の種類ごとに工程を表にしています。表には、工程(素地ごしらえ・下塗り・研磨紙ずり・中塗り・上塗りなど)、塗料の規格番号と規格名称、塗付け量(kg/㎡)が並びます。種別(A種・B種)によって、中塗りを入れる工程と省く工程があります。
| 工程 | A種 | B種 | 塗料の規格と塗付け量 |
|---|---|---|---|
| 下塗り | ○ | ○ | JIS K 5670 アクリル樹脂系非水分散形塗料、0.10 kg/㎡ |
| 研磨紙ずり | ○ | ─ | 研磨紙 P220〜240 |
| 中塗り | ○ | ─ | 同上、0.10 kg/㎡ |
| 上塗り | ○ | ○ | 同上、0.10 kg/㎡ |
この表は、屋内のコンクリート面・モルタル面向けのアクリル樹脂系非水分散形塗料塗り(標準仕様書18.6.2)の例で、外壁の塗り替え用ではありません。工程と塗料の規格と塗付け量を、1行ずつ対応させて書く形の見本として載せています。出典: 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)平成28年版」18章 塗装工事(確認日 2026-10-12)。
この標準仕様書は公共建築の新築・増築工事の仕様で、民間の住宅の塗り替え見積に適用されるものではありません。見積の書き方の参考として使います。
契約前に業者へ確かめる項目
| 確かめる項目 | 見積書・契約書面で見る所 | 業者に聞くこと |
|---|---|---|
| 工程と回数 | 下塗り・中塗り・上塗りが別の行か、「塗装一式」にまとまっていないか | 外壁の素材で回数がどう決まるか。下塗りの対象と塗り回数 |
| 塗料の製品名とメーカー | 「シリコン塗料」などの種類名だけでなく、製品名・メーカー名があるか | 下塗り・中塗り・上塗りで同じ製品か、別の製品か |
| 使用量 | 塗料の使用量や缶数の記載があるか | メーカーが示す使用量(㎡あたり)に沿って塗るか。塗料の缶数をどう記録するか |
| 各層の色 | 中塗りと上塗りの色の記載 | 各層で色を変えて塗るか |
| 乾燥の間隔と天候 | 工期の記載、雨天時の扱い | 各工程の間の乾燥時間をどう決めるか。雨・強風の日の扱い |
| シーリング面の塗装 | シーリングの打ち替え・増し打ちの行との前後関係 | シーリングが硬化した後に塗るか |
標準仕様書には、次の定めがあります。
- 中塗りおよび上塗りは、なるべく各層の色を変えて塗る(18.1.4(i))。塗り重ねの確認に使えます
- 工程間の間隔時間および最終養生時間は、材料の種類、気象条件等に応じて適切に定める(18.1.4)
- シーリング面に塗装仕上げを行うときは、シーリング材が硬化したのちに行い、塗重ねの適合性を確認して必要な処理を行う(18.1.4(k))
- 外部の塗装は、降雨のおそれのある場合および強風時には、原則として行わない。塗装場所の気温が5℃以下、湿度が85%以上、または換気が適切でなく結露するなど乾燥に不適当な場合も、原則として行わない(18.1.6(a)(b))
出典: 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)平成28年版」18章 塗装工事(確認日 2026-10-12)。
塗料缶の表示と施工記録
契約前に塗料の製品名を確かめても、施工の当日に別の塗料が使われていないかは、見積書だけでは分かりません。着工前の塗料缶の写真や、使用した缶数の記録を残してもらえるかを、契約前に聞けます。塗料缶の表示に関する法令上の決まりは、このページでは確かめていません。写真と記録の残し方は、工事中の写真と施工記録にまとめています。
シーリングと下地の項目はシーリング・下地処理の見積の見方に、外壁の種類ごとの確認点は外壁の種類による見積の確認点にあります。
遮熱・断熱をうたう塗料の効果の根拠や基準の確認は遮熱塗料・断熱塗料の見積で確かめる点にあります。
「シリコン」「フッ素」「無機」といった塗料グレードの表記が何の区分かは塗料グレード表記を契約前に確かめる点にあります。
外壁の意匠を残すクリア塗装の見積は、塗料名のほかに確かめる点があります。クリア塗装の見積の確認点(外壁の意匠を残す場合)で説明しています。
塗り回数を工事中に確かめる方法は工事中に工程ごとに確認できることにあります。
工事全体の日数と工程表を契約前に確かめる項目は外壁塗装の工事日数と工程表を契約前に確かめる項目にあります。
施主が塗料を買って渡す場合の契約書の書き方と責任の分かれ方は塗料の施主支給で契約前に確かめる点にあります。
見積の缶数や塗布量を読むときの、塗料をうすめる量の決まり方は見積の缶数・塗布量と塗料の希釈(うすめ)率にあります。
このページでできないこと
塗料の優劣や価格、見積の塗料が適正かどうかの判定はしません。お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。
よくある質問
外壁塗装の塗り回数は、必ず下塗り・中塗り・上塗りの3回ですか
このページで確かめた公共建築工事標準仕様書(平成28年版)の表では、工程の数は塗料の種類と種別によって異なります。たとえば屋内のコンクリート面・モルタル面向けのアクリル樹脂系非水分散形塗料塗りでは、A種は下塗り・中塗り・上塗りの3回、B種は下塗り・上塗りの2回です。住宅の塗り替えの回数は、使う塗料のメーカーの仕様や業者の説明で確かめます。
見積の塗料欄に「シリコン」「フッ素」としか書かれていないときは、何を聞けばよいですか
これらは樹脂の種類を示す呼び方で、同じ呼び方の製品が複数あるため、見積だけでは使う塗料が決まりません。製品名とメーカー名を見積書か契約書面に書いてもらえるか、下塗り・中塗り・上塗りの各工程で同じ製品か、を業者に聞きます。塗料の優劣や価格の判定は、このページではしません。
塗付け量は、見積に書かれているものですか
標準仕様書の工程表には、塗料の規格とともに塗付け量(kg/㎡)の欄があります。一方、住宅の見積書にどこまで書くかを定めた規定は、このページでは確かめていません。メーカーが示す使用量に沿って塗るのか、塗料の缶数や使用量をどう記録するのかを、契約前に業者へ聞けます。
塗り回数ごとの乾燥時間が雨で取れず工期が延びる場合の取り決めは雨天・悪天候で工期が延びたときの取り決めにあります。
