賃貸アパート・貸家の外壁塗装の見積と国交省の2事例

国土交通省の賃貸住宅向け資料の2事例で、外壁・足場・鉄部・防水の分け方と、一括・分割の違いを確認します。

足場上で住宅の外壁をローラー塗装する作業風景

確認した資料と、この表の読み方

国土交通省は、賃貸アパートや賃貸マンションの所有者向けに「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」とその「事例編」を公表しています。ここでは事例編にある2つの事例の数字だけを引用します。事例の金額は、その建物・その年の計画であり、あなたの建物の相場や基準ではありません。

事例編の2つの事例(建物の規模と修繕の進め方)

項目事例1(賃貸アパート)事例2(賃貸マンション)
構造・規模木造2階建て、6戸、延床288㎡(築13年)RC造8階建て、33戸、延床1,593㎡(築22年)
外壁の仕上げサイディング磁器質タイル、モルタル吹付
進め方築12年目に建物診断。共用部分の修繕を一括で施工築18年目に建物診断。屋上・外壁の北面・東面などを分けて、15年間で施工
資料に書かれた金額11〜15年目の計画に、外壁(塗装・シーリング打替)173万円、足場仮設92万円、鉄部・非鉄部塗装14万円、屋上防水塗装35万円、経費・消費税56万円15年間の総額2,138万円

事例1では、外壁・足場・鉄部・屋上防水が別の行で、さらに経費と消費税も別の行です。事例1の外壁の修繕周期の目安は10年で、21〜25年目には207万円が計上されています。

自宅の見積と違う点:項目の範囲が広い

自宅の見積は外壁と付帯部が中心ですが、賃貸の共用部分は、屋上、外壁、鉄部、廊下・階段、バルコニーの防水まで含まれることがあります。事例2では、屋上、外壁、足場仮設、鉄部、廊下・階段・バルコニーの各防水が、別々の項目として金額を持っています。見積を受け取ったら、どこまでの範囲か、行ごとにどの工事かを書面で確かめます。範囲が違う2社の見積は、同じ範囲の行だけを並べます。

賃貸に固有の確認:入居者と修繕の義務

民法第606条は、賃貸人(貸す側の所有者)に、賃貸物の使用・収益に必要な修繕をする義務を課しています(賃借人の責めに帰すべき事由で必要になったときを除く)。同条第2項は、賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするとき、賃借人はこれを拒むことができないと定めています。どの工事がこの「保存に必要な行為」に当たるかは、個別の事情と契約の内容で決まるため、このサイトは判断しません。管理会社や弁護士に確かめてください。

見積を受け取ったときに業者へ確かめる点

貸家の所有者が見積を見る順番の目安です。項目の分け方を先に、金額と経費を次に、税務上の扱いを最後に確かめます。

  1. 外壁、足場、鉄部、屋上や廊下の防水が、別の行か、外壁の行にまとまっているか。
  2. シーリングの打替が外壁の行に含まれるか、別の行か。
  3. 共用部分を一度に施工する見積か、面や部位ごとに複数回へ分ける見積か。分ける場合、足場を何回かけるか、各回の金額が別に出ているか。
  4. 経費・消費税が行として分かれているか。税込・税抜の書き方も確かめます。
  5. 工期と、入居者へ知らせる時期。見積の工期の行から確かめます。
  6. 費用が修繕費か資本的支出かを税理士に確かめるとき、見積の行を工事の種類ごとに分けてあるか。判定の基準は賃貸の外壁塗装は修繕費か資本的支出かにあります。

労務単価の地域差で言えること・言えないこと

知りたいこと言えるか理由と使い方
建物がある県の塗装工の賃金の水準言える地域係数を調べるページで県ごとの水準を見られます。
見積の労務費の行が県の日額とどう並ぶか参考として言える人件費部分の2つの手順で照らします。
総額や、事例の金額との高い・安い言えない事例は別の建物の計画で、労務単価も賃金だけの金額です。このサイトは適正・不適正を判断しません。
戸数や延床面積当たりの単価言えない塗装工事には国の標準歩掛りがありません。1平方メートル当たりの単価を出さない理由を参照してください。

よくある質問

賃貸アパートの外壁塗装の費用は、足場も別の行になっていますか

国土交通省のガイドブック事例編の木造2階建て6戸の事例では、外壁(塗装・シーリング打替)173万円と、足場仮設92万円が別の行で示されています。自分の見積でも、足場が別の行か外壁に含まれているかを業者に確かめます。

賃貸の外壁塗装は、入居者が反対すると工事できませんか

民法第606条第2項は、賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするとき、賃借人はこれを拒むことができないと定めています。ただし、どの工事がこの保存に必要な行為に当たるかは個別の事情によるため、契約書や管理会社、弁護士に確かめます。

外壁を面ごとに分けて何年かに分割して塗るのは、ガイドブックで認められていますか

ガイドブック事例編には、RC造8階建て33戸の建物で、屋上・外壁の北面・東面などを分けて15年間で修繕し、総額2,138万円とした事例が載っています。事例の紹介であり、分割を勧める基準ではありません。

出典: 国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック 事例編」(PDF、2026-10-12確認)、民法第606条(e-Gov法令検索、2026-10-12確認)。表の「言えるか」の判断は本サイトの整理です。このページでは、見積の金額が適正かどうかの判定や業者の紹介はしません。

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