見積書の内訳に条文が挙げている項目
建設業法第20条第1項は、建設業者に、次の内訳を書いた見積書(材料費等記載見積書)を作るよう努めることを求めています。
| 条文が挙げる項目 | 見積書で確かめられること |
|---|---|
| 工事の種別ごとの材料費 | 工事の種別ごとに、材料費が分けて書かれているか |
| 労務費 | 労務費が、総額の中の一項目として示されているか |
| 労働者による適正な施工を確保するために不可欠な経費として国土交通省令で定めるもの | 安全衛生などの経費が、労務費とは別に書かれているか |
| その他、施工のために必要な経費 | 上の3つに入らない経費が、何として書かれているか |
| 工事の工程ごとの作業と準備に必要な日数 | 工程ごとの日数が書かれているか |
出典: 建設業法第20条第1項(e-Gov法令検索、確認日2026-10-01)
内訳を見る前に知っておくこと
- 第1項は「作成するよう努めなければならない」という努力義務です。ただし、注文者から請求があれば、建設業者は契約が成立するまでに材料費等記載見積書を渡さなければなりません(第4項)。
- 個人の発注者が相手でも、価格交渉で労務費等を確保する必要がある場合には内訳を示すことが望ましいとされています(運用方針の方針53)。
- 内訳は、請負代金の総額の中の労務費として示されていれば足り、工程ごとに分けることは必須ではありません(方針51)。
出典: 建設業法第20条(確認日2026-10-01)、国土交通省「労務費に関する基準の運用方針」令和8年6月最終改正(PDF、確認日2026-10-01)
項目ごとに確かめること
労務費:工事をする都道府県の塗装工の日額と並べる
労務費に関する基準は、通常必要と認められる労務費を「職種の公共工事設計労務単価 × 歩掛 × 施工数量」で計算した額と位置づけています。見積書に労務費の項目があれば、工事をする都道府県の塗装工の日額を地域係数を調べるページで確認し、全国単純平均との差を知る手がかりにできます。当サイトは歩掛を扱わないため、労務費が基準を上回るか下回るかは計算しません。
安全衛生経費:労務費とは別に書かれているか
基準でいう労務費には、法定福利費の事業主負担分、安全衛生経費、建設業退職金共済制度の掛金は含まれず、労務費とは別に内訳を示して計上されるべきものとされています。これらが労務費の金額に含まれているのか、別の行にあるのかは、見積書の書き方から読み取れます。
運用方針(方針35)は、安全衛生経費の積算方法として、現場ごとに積み上げる方法、施工実績をもとに工事金額または労務費に対する割合で出す方法、その両方を組み合わせる方法があり得るとしています。
材料費とその他の経費:何が一式に入っているか
条文は材料費を工事の種別ごとに分けて書くことを求めています。「一式」とだけ書かれた行があるときは、その行に何が含まれるかを、材料費等記載見積書の請求で確かめられます。材料費の単価そのものは当サイトでは扱わず、水準も示しません。
日数:工程ごとの日数の記載
第1項は工程ごとの作業と準備に必要な日数も書くことを求めています。日数が書かれていれば、労務費の項目と合わせて読めます。
見積書を受け取ったあとの次の問い
内訳に不足があるときは、材料費等記載見積書を請求できます。値引き交渉や契約しない選択の扱いは労務費に関する基準と見積で、労務単価に何が含まれるかは塗装工日額に含まれるもので確認できます。
このページでできないこと
本サイトは都道府県別の労務単価だけを扱い、歩掛や材料費の単価は扱わないため、㎡単価への換算や、見積の各項目が妥当かどうかの計算を行いません。個別の見積の適正・不適正や、個別の取引が建設業法に違反するかどうかの判断もしません。個別の取引については、上に示した条文と運用方針の原文をご確認ください。