吹付け仕上げ・板張りの外壁の塗装の見積の確認点

リシン・スタッコなどの吹付け仕上げと板張りの外壁で、仕上げ別に見積の何が変わるかを、国土技術政策総合研究所と林産試験場の資料から整理しました。価格や耐用年数は示しません。

足場上で住宅の外壁をローラー塗装する作業風景

吹付け仕上げと板張りで見積の見方が変わる理由

リシンやスタッコは、吹付けで仕上げた外壁の表面材の通称です。板張りは、木の板を外壁に張った仕上げです。国土技術政策総合研究所のメンテナンスガイドラインは、サイディングを窯業系・金属系・樹脂系・木質系の4種類に分けており、板張りは木質系にあたります。外壁の種類(窯業系サイディング・モルタル)で変わる見積の確認点では窯業系サイディングとモルタルを扱いました。吹付け仕上げは、仕上げの種類や層の構成が見た目では分かりにくく、見積書では「外壁塗装」の一行にまとまることがあります(当サイトの整理です)。仕上げの種類によって下地処理と使う塗料が変わるため、見積書に仕上げの種類が書かれているかが最初の確認点になります。

吹付け仕上げ(リシン・スタッコ)の確認点

項目公的資料の記載見積書で確かめること
既存の仕上塗材の種類性能と機能を確保する改修を行うには、既存の仕上塗材の種類を正しく把握する必要がある。塗膜の層が複数になっていることがあるため、層構成も確認する。建設年代から使われた材料を推測することも有効見積書や現地調査で、現在の仕上げの種類(リシン、スタッコ、吹付けタイルなど)が説明されているか
仕上塗材の変遷同じ資料の付表に、セメントリシン、セメントスタッコ、樹脂リシンなど、1960年代から2015年までの建築用仕上塗材の変遷が載っている築年数から、どの仕上げが使われていたかを業者が説明できるか
石綿(アスベスト)当サイトの別ページで整理したとおり、仕上塗材には石綿を含むものがあり、外装の補修・改修工事も事前調査の対象として案内されている築年数が古い吹付け仕上げで、事前調査の有無と結果の説明があるか(石綿の事前調査の確認点)

表の「公的資料の記載」列の出典: 国土技術政策総合研究所の資料(建築用仕上塗材の変遷と既存仕上塗材の種類の推定を扱う節、PDF)(確認日 2026-10-14)。この資料は、仕上塗材の改修を考えるときの調べ方を示したもので、住宅の塗り替え工事の見積の基準ではありません。「見積書で確かめること」の列は、当サイトの整理です。

板張り(木質系)の確認点

項目公的機関の資料の記載見積書で確かめること
旧塗膜の剥離造膜形(膜をつくる型)の木材保護塗料で塗られた木製サイディングを塗り直すときは、旧塗膜の剥離処理が必要になる旧塗膜をどう落とすかが、見積書に書かれているか
剥離方法による違い塗装後10年以上のカラマツの木製サイディングで5つの方法を試験した。サンダーや研磨材では、早材部(木の成長の早い部分)の塗膜が残った。グラインダーは旧塗膜と一緒に基材も削れた。高圧洗浄は旧塗膜を完全に除去したが、早材部が削られて凹凸差が大きくなった。剥離剤を使ってから高圧洗浄すると、節まわりの塗膜がきれいに除去できた剥離の方法(サンダー、高圧洗浄、剥離剤など)が書かれているか。高圧洗浄の水圧で板を痛めない配慮を聞く
再塗装後の耐候性この年報の時点では、剥離方法が再塗装後の耐候性に与える影響は、屋外暴露試験を継続中で明らかになっていない「この方法なら何年もつ」という説明を、根拠なしに受けていないか

表の出典: 北海道立総合研究機構 林産試験場「造膜形木材保護塗料で処理された木製サイディング材の再塗装方法とその耐候性評価」(林産試験場年報 平成23年度、PDF)(確認日 2026-10-14)。これは1つの木材と1つの塗装方式での試験の概要で、すべての板張り外壁に当てはまるわけではありません。「見積書で確かめること」の列は、当サイトの整理です。板の腐朽やシロアリ被害の疑いがあるときは、塗装より先に補修が要る場合があります(外壁の木部の腐朽・シロアリ被害が疑われるときの見積の分け方)。

仕上げ別に、見積で確かめる点の違い

契約前に仕上げの種類を確かめる手順

  1. 外壁の仕上げが吹付けか板張りかを、新築時の図面や仕様書、業者の現地調査で確かめる(見積前の現地調査で確かめる項目)
  2. 見積書に、仕上げの種類が書かれているかを見る。書かれていなければ、書き加えてもらえるかを聞く
  3. 吹付け仕上げで築年数が古い場合は、石綿の事前調査の扱いを聞く
  4. 板張りは、旧塗膜の剥離方法と、板の傷みの補修の範囲が書かれているかを見る
  5. 塗料名と塗り回数は塗り回数・塗料名の確認項目の表で確かめる

このページでできないこと

吹付け仕上げや板張りの価格・耐用年数は示しません。リシンやスタッコの種類ごとに適した下地調整材や塗料の指定も、ここでは扱いません。個別の外壁の診断、見積が適正かどうかの判定もしません。お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。

よくある質問

リシンやスタッコの外壁は、見積書に仕上げの種類が書かれていますか

書かれていない見積もあります。国土技術政策総合研究所の資料は、改修では既存の仕上塗材の種類と層構成を把握する必要があると示しています。見積書に仕上げの種類が書かれていなければ、現地調査での説明と、書き加えてもらえるかを業者に聞いてください。

築年数が古い吹付けのリシンの外壁を塗るとき、石綿は関係しますか

仕上塗材には石綿を含むものがあり、外装の補修・改修工事も事前調査の対象として自治体が案内しています。調査の義務や届出の内容は工事の内容で変わるため、当サイトの石綿の事前調査のページと、業者の説明で確かめてください。

板張りの外壁の塗り替えは、旧塗膜を必ず剥がしますか

林産試験場の資料は、造膜形の木材保護塗料で塗られた木製サイディングの塗り直しでは旧塗膜の剥離処理が必要になるとしています。ただし、これは特定の試験の概要です。実際の板張りの塗り替えで剥離が必要かどうか、どの方法で剥離するかは、現在の塗膜の種類と状態を見て決まるため、見積書に方法を書いてもらってください。