事前調査とは何か
石綿(アスベスト)は、古い建材に使われていたことがある繊維状の鉱物で、削ったり砕いたりすると粉じんが飛び、吸い込むと健康被害のおそれがあります。そこで、建物の解体や改修の前に「石綿を含む材料がないか」を調べることが法令で決まっています。これを事前調査といいます。
石綿障害予防規則第3条第1項は、建築物の解体または改修の作業を行うときは、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査しなければならないと定めています。大気汚染防止法第18条の15第1項も、建築物等を解体し、改造し、または補修する作業を伴う建設工事の元請業者に、調査と、その結果を書いた書面を発注者へ渡して説明することを求めています。
外壁塗装の工事で関係する場面
外壁塗装は、法令上は「改修」や「補修」を伴う工事にあたる場合があります。自治体の資料には、次のような記載があります。
- 山梨県の資料は、建築物の内外装仕上げに使う仕上塗材には石綿を含有するものがあるため、仕上塗材中の石綿の有無も調べる必要があると書いています。
- 仙台市の所有者向けQ&Aは、事前調査が必要な工事の例として「外装の補修・改修工事」を挙げ、石綿が含まれる可能性が高い建材の例に外壁(仕上塗材も含む)を挙げています。
出典: 山梨県「解体等工事における石綿使用の事前調査及び調査結果掲示について」、仙台市「石綿事前調査 所有者向けQ&A」(確認日 2026-10-11)。
どの塗装工事がどの規定の対象になるかは、塗る面の材料や作業の内容で変わります。このページでは判定しません。見積をもらった業者に、調査の対象になるかを聞いてください。
調査の方法と、調べる人
| 項目 | 条文が定めていること | 条 |
|---|---|---|
| 調べる範囲 | 解体等の対象になる部分の全ての材料について調査する | 石綿則第3条第2項 |
| 調査の方法 | 設計図書などの文書の確認と、目視による確認 | 石綿則第3条第2項 |
| 新しい建物の特例 | 新築工事の着工日が平成18年9月1日以降の建築物は、その着工日を設計図書などの文書で確認する方法によることができる | 石綿則第3条第3項第3号 |
| 調べる人 | 調査を適切に行うために必要な知識を持つ者として厚生労働大臣が定めるものに行わせる | 石綿則第3条第4項 |
| 有無が分からないとき | 分析による調査を行う。ただし、石綿が使われているものとみなして必要な措置をとる場合は除く | 石綿則第3条第5項 |
| 記録の保存 | 調査の結果の記録を、調査を終了した日から3年間保存する | 石綿則第3条第7項 |
| 作業場での掲示 | 調査を終了した日などを、作業場の見やすい箇所に掲示する | 石綿則第3条第8項 |
出典: e-Gov法令検索「石綿障害予防規則」第3条(確認日 2026-10-11)。
報告が要るのは請負代金100万円以上の改修工事
石綿障害予防規則第4条の2第1項は、建築物の改修工事で、請負代金の額が100万円以上のものを行おうとするときは、あらかじめ電子情報処理組織を使って、調査の結果などを所轄の労働基準監督署長に報告することを事業者に求めています。
この「100万円以上」は報告の線であって、調査そのものの線ではありません。調査を求める第3条には、金額による線はありません。また、同じ事業者が工事を2つ以上の契約に分けて請け負う場合は、1つの契約で請け負ったものとみなして線を当てはめると、同条第4項が定めています。
大気汚染防止法第18条の15第6項は、元請業者が調査を行ったときは、遅滞なく、調査の結果を都道府県知事に報告するよう定めています。
出典: 石綿障害予防規則第4条の2、大気汚染防止法第18条の15(e-Gov法令検索、確認日 2026-10-11)。
発注者にも関わること
- 元請業者は、調査の結果などを書いた書面を発注者に交付して説明しなければなりません(大気汚染防止法第18条の15第1項)。
- 解体等工事の発注者は、元請業者の調査に要する費用を適正に負担するなど、調査に協力しなければなりません(同条第2項)。
- 元請業者は、調査の記録と書面の写しを保存します(同条第3項)。
つまり、見積書に調査の費用が入っているか、調査の結果の書面をもらえるかは、契約前に確かめておく点になります。費用の額は法令では決まっていません。このサイトでは額の目安を示しません。
契約前に業者へ聞く点
- この工事は石綿の事前調査の対象になるか。対象なら、誰が調べるのか。
- 調査の費用は見積書のどの項目に入っているか。別に請求されるのか。
- 調査の結果を書いた書面を、工事の前にもらえるか。
- 石綿が見つかった、または有無が分からなかったとき、工事の内容・金額・工期はどう変わるか。
- 請負代金が100万円以上のとき、労働基準監督署への報告は業者が行うか。
見積の項目を確かめる順番は見積を受け取った後に確かめる順番に、契約前に聞く質問の全体は契約前に業者へ聞く質問リストにあります。契約書に書く事項は外壁塗装の契約書に書く事項で確認できます。
このページでできないこと
個別の工事が事前調査や報告の対象かどうか、見積の調査費が高い・安いかの判定はしません。石綿の有無の判断もできません。調査の対象かどうか、石綿が見つかったときの対応は、工事を請け負う業者、お住まいの自治体の担当窓口、労働基準監督署に確かめてください。窓口は見積に迷ったときの公的な相談窓口にもまとめています。お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。
よくある質問
外壁塗装でも石綿の事前調査は必要ですか
石綿障害予防規則第3条は、建築物の解体または改修の作業を行うときに、あらかじめ石綿等の使用の有無を調べることを事業者に求めています。大気汚染防止法第18条の15も、建築物等を解体し、改造し、または補修する作業を伴う建設工事の元請業者に調査を求めています。自治体の資料には、外壁の仕上塗材に石綿を含むものがあるため調査が必要と書かれています。個別の工事が当てはまるかは、工事を請け負う業者や自治体の窓口に確かめてください。
事前調査の費用は誰が負担しますか
大気汚染防止法第18条の15第2項は、解体等工事の発注者が、元請業者の調査に要する費用を適正に負担するなどして調査に協力しなければならないと定めています。見積に調査費がどう入っているかは、契約前に業者へ確かめてください。
請負代金が100万円未満なら調査は不要ですか
いいえ。100万円以上というのは、調査の結果を労働基準監督署へ電子報告する義務が生じる改修工事の線です(石綿障害予防規則第4条の2)。調査そのものを求める第3条には、金額による線はありません。
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古い鉄部・付帯部の旧塗膜に鉛が含まれる場合の扱いは、法令の型が別なので外壁塗装の鉄部・付帯部の旧塗膜と鉛の扱いで整理しています。
自分で塗る場合に見積のどの行が残るかは、自分で塗る場合と業者見積の比較で条文から確かめられます。
