人工・日当は、職人の1日分を数える表記
見積書の「人工(にんく)」や「日当」は、職人が何人で何日作業するかを金額にした欄として書かれることがあります。ただし、1人工や日当に何が含まれるかは見積書ごとに異なり、決まった定義はありません。国の公共工事設計労務単価(以下、労務単価)は、基本給相当額・基準内手当・臨時の給与・実物給与の合計で、基本給相当額と基準内手当は所定労働時間内の8時間あたり、臨時の給与と実物給与は所定労働日数の1日あたりの金額です。つまり塗装工の日額は、職人1人の1日分の単価という点で人工・日当と同じ単位ですが、中身が同じとは限りません。
出典: 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」の「公共工事設計労務単価の構成」(確認日 2026-10-09)。
1人工は何時間か、人工代とは何を指すか
1人工が何時間かは、見積書ごとに決まっていて、国が定めた共通の時間はありません。国の労務単価は、労働者本人が受け取るべき賃金を「日額換算値(所定内労働時間8時間)」として設定した単価です。このため、労務単価の日額は8時間の1日分として読めますが、見積書の1人工が8時間とは限りません。
人工代は、この1人工に単価を掛けた職人の作業分の代金を指す呼び方として使われます。人数×日数で数えた人工の合計に1人工の単価を掛けた金額が、見積書の人工代の欄になります。1人工の単価に諸経費や割増が入っているかは、後の「業者に確かめること」の節で確認します。
出典: 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」の「公共工事設計労務単価」と「雇用に伴う必要経費」の関係(確認日 2026-10-25)。
日額×人数×日数で労務の部分を概算する
見積書に職人の人数と日数が書かれているときは、工事場所の塗装工日額に人数と日数を掛けると、労務単価の水準で見た職人の作業分の概算が出ます。次の表は、職人2人が3日作業する場合の計算例です。数字は令和8年3月適用の塗装工(橋りょう塗装工ではありません)の日額で、掛け算は本サイトの計算です。一般の塗装工と橋りょう塗装工の区分は塗装工と橋りょう塗装工の違いで説明しています。
| 区分 | 塗装工日額 | 全国単純平均比 | 2人×3日 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 36,500円 | +18.7% | 219,000円 |
| 山口県 | 25,900円 | -15.8% | 155,400円 |
| 47都道府県の単純平均 | 30,760円 | 基準 | 184,560円 |
同じ2人×3日でも、東京都と山口県では約6万円の差が出ます。これは作業量の差ではなく、地域による賃金水準の差です。この金額は塗装工事の見積総額の目安ではありません。塗料、足場、下地処理の材料などの費用が別にかかるためです。47都道府県の日額は47都道府県の塗装工日額 一覧で確認できます。
塗装工の人工単価が国の日額と違ってくる理由
国の単価表は、次のものを労務単価に含まれないとしています。見積書の人工や日当の欄には、これらが上乗せされていることがあります。
- 時間外、休日および深夜の労働についての割増賃金
- 各職種の通常の作業条件または作業内容を超えた労働に対する手当
- 現場管理費(法定福利費の事業主負担分、研修訓練等に要する費用など)および一般管理費等の諸経費
そのため、見積書の人工単価が労務単価の日額より高くても、直ちに高すぎるとは言えません。逆に日額より低い場合も、含まれる範囲が違えば比べられません。含まれる範囲の詳細は塗装工日額に含まれるもの・含まれないもので、経費の用語は見積書の現場管理費・法定福利費・一般管理費・諸経費の意味で説明しています。法定福利費が別の行になっている見積書の算出式と対象の保険は法定福利費の内訳明示の見方にあります。日額と職人の年収が同じではない理由は塗装工の労務単価の日額と職人の年収の違いにあります。
日額×人数×日数に使う日額は、工事をする県の値です。令和8年3月適用の塗装工日額は、青森県27,400円、香川県27,500円、岐阜県32,300円、大阪府32,300円、神奈川県36,300円で、県により最大8,900円の差があります。
見積書の人工・日当で業者に確かめること
- 1人工は何時間の作業か、1日に何人が入る前提か
- 人工単価に現場管理費や諸経費が含まれているか、別の行に分けて書かれているか
- 人数×日数が、工程ごとの日数(見積書の内訳に条文が挙げる日数)と合っているか
- 材料費と労務費が分けて書かれているか。「一式」だけなら、契約が成立するまでに材料費等記載見積書を請求できます
内訳の項目の見方は外壁塗装の見積書の内訳の見方、確認の全体の順番は見積を受け取った後に確かめる順番で説明しています。国の労務単価が公共工事の数字で、民間の見積とどう違うかは公共工事設計労務単価と民間の外壁塗装見積の違いにあります。
人工・日当を読むときのよくある質問
見積書の人工は、塗装工の労務単価の日額と同じ意味ですか
同じとは限りません。人工は職人1人の1日分の作業量を数える表記として使われますが、1人工に何が含まれるかは見積書ごとに異なります。労務単価は公共工事の積算に使う設計上の単価で、業者の請求単価そのものではありません。
日当が労務単価の日額より高いと、見積は高すぎますか
判断できません。労務単価には現場管理費や一般管理費等の諸経費、時間外の割増賃金が含まれません。日当の欄にそれらが入っているかを業者に確かめる必要があり、金額の差だけで見積の適正・不適正は決められません。
人工の単価に地域差はありますか
あります。令和8年3月適用の塗装工日額は東京都が36,500円、山口県が25,900円で、全国単純平均の30,760円に対して東京都は18.7%高く、山口県は15.8%低い水準です。1時間あたりに直した目安は、塗装工の労務単価を1時間あたりで読むのページで確認できます。
工事日数と工程表を契約前に求める項目は外壁塗装の工事日数と工程表を契約前に確かめる項目に、雨天で日数が延びたときの取り決めは雨天・悪天候で工期が延びたときの取り決めにあります。
階数や塗る範囲で見積の足場の㎡数がどう変わるかは、2階建・3階建の足場面積の出し方 と 部分塗装(一面だけ)の足場面積の出し方 にあります。
このページでできないこと
個別の見積の人工単価が適正かどうかの判定や、職人の実際の賃金の推計はできません。塗装工事は国の標準歩掛り(1人が1日に塗れる面積)が公的に存在しないため、人工から㎡単価への換算もしません。塗装業者の紹介もしません。出典と確認日はデータの出典をご覧ください。
人工が書いていない見積でも、人件費部分を県の日額と照らす方法は2通りあります。見積の人件費部分を県の日額と照らす手順表に並べています。
お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。たとえば東京都、愛知県、大阪府、福岡県のページがあります。
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自分で塗る場合に見積のどの行が残るかは、自分で塗る場合と業者見積の比較で条文から確かめられます。
