コンクリート打ち放し・タイルの外壁の塗装の見積の確認点(下地処理・塗料)

コンクリート打ち放しやタイル張りの外壁で、見積の下地処理と塗料の項目が何を確かめる点になるかを、国の調査資料から整理しました。価格や耐用年数は示しません。

足場上で住宅の外壁をローラー塗装する作業風景

打ち放し・タイルの外壁で見積の見方が変わる理由

コンクリート打ち放しは、型枠を外した躯体の表面をそのまま仕上げにした外壁です。タイル張りは、躯体やモルタルの上にタイルを張った外壁です。どちらも、塗料の行だけでなく、下地(塗る前の面)の状態の確認と補修が見積の中心になります。窯業系サイディングとモルタルの確認点は外壁の種類(窯業系サイディング・モルタル)で変わる見積の確認点、ALCパネルはALCパネル外壁の塗装の見積の確認点にあります。このページは、その続きとして打ち放しとタイルを扱います。

建物の足もとの基礎や土台まわりの塗装は、基礎・土台まわりの塗装とモルタル補修の見積項目で扱っています。

コンクリート・モルタル下地の塗り仕上げで調べる項目(国総研資料)

国土技術政策総合研究所の資料第1182号(令和3年12月)は、コンクリートやセメントモルタルの外装に使われている仕上塗材の劣化調査を、技術者向けにまとめた解説書です。調査の目的は、改修の要否判定と改修設計に分けられ、調査項目ごとに関係の高さが示されています。

国総研資料の調査項目資料での位置づけ見積書で確かめること
種類・層構成改修設計に関係が高い項目今の仕上げが何か(薄付け・複層・厚付けなど)を、業者が現地で確認したか。塗料の行が既存の仕上げに合っているか
白亜化(チョーキング)・汚れ・変退色・光沢低下改修の要否判定(美観の確保)に関係が高い項目塗り替えの理由が、見た目の劣化なのか、下の項目の劣化なのかを説明してもらう
膨れ・浮き、割れ、剥がれ美観の確保と躯体保護機能の保持の両方に関係が高い項目該当する箇所の補修が、塗装と別の行で書かれているか。範囲(箇所数や長さ)が書かれているか
エフロレッセンス(白華)同上下地のコンクリートやモルタルの成分が表面に出た跡。除去や下地処理の項目が見積に入っているか
付着性躯体保護機能の保持と改修設計に関係が高い項目既存の塗膜が下地に付いているかを、どう確かめたか(目視か、器具を使ったか)を聞く

表の「資料での位置づけ」列の出典: 国土技術政策総合研究所 国総研資料第1182号(表1.2.1・表1.3.1。確認日 2026-10-14)。この資料は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの建築物の外壁を対象にした調査の解説書で、補修する数量や材料を見積るための施工調査は扱っていないと明記されています。戸建て住宅の見積の基準ではなく、業者との会話の物差しとして使います。「見積書で確かめること」の列は、当サイトの整理です。

タイル張りの外壁で先に調べる浮きとひび割れ

建築研究所の建築研究資料第145号(平成25年8月)は、公共建築改修工事標準仕様書(以下、改修標仕)では、タイル張り仕上げの改修がひび割れ部、欠損部、浮き部の改修に分けられていると説明しています。改修標仕は公共建築だけでなく、民間建築物やマンションの補修・改修でも広く参考にされているとも書かれています。同じ資料から、見積で確かめる点に関わる記載を拾います。

つまり、タイル張りの外壁の見積で「塗装一式」だけが書かれているときは、浮きの調査がされたかが分かりません。調査の方法と結果、補修の範囲が書かれているかを見てください。出典: 建築研究所 建築研究資料第145号 第3章(確認日 2026-10-14)。

タイルの浮きを調べる方法(国土交通省の案内)

国土交通省は、定期報告制度における外壁のタイル等の調査について、平成20年国土交通省告示第282号で、おおむね6か月から3年以内に一度の手の届く範囲の打診等に加え、おおむね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等を行うこととされていると案内しています。令和4年1月の改正で、打診以外の方法として、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を持つ、無人航空機による赤外線調査が明確化されました。これは定期報告制度での調査の定めです。個人の住宅の塗装工事に義務づけるものではありませんが、タイルの浮きは打診や赤外線で調べる、という標準的な方法の目安になります。出典: 国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」(確認日 2026-10-14)。

契約前に打ち放し・タイルの外壁と分かった時の確認手順

  1. 外壁の仕上げが打ち放し、タイル張り、打ち放しの上の塗装のどれかを、図面や新築時の書類、業者の現地調査で確かめる(見積前の現地調査で確かめる項目)
  2. タイルの場合、浮きの調査(打診や赤外線など)をしたか、結果と補修の範囲が見積書に書かれているかを見る
  3. ひび割れ、白華、剥がれなどの下地の補修が、塗装と別の行で、範囲つきで書かれているかを見る(ひび割れ補修の確認点)
  4. 塗料名と塗り回数を、既存の仕上げに合うものか確かめる(塗り回数・塗料名の確認項目)
  5. 目地や取り合いのシーリングが、見積の範囲に入っているかを確かめる(シーリングと下地処理の見積の見方)
  6. 劣化診断の報告書がある場合は、見積と突き合わせる(外壁の劣化診断の診断書で確かめる点)

このページでできないこと

打ち放しやタイルの外壁の塗装の価格や耐用年数は示しません。個別の外壁の劣化診断、見積が適正かどうかの判定もしません。国総研資料と建築研究資料は、仕様書に近い技術者向けの資料で、住宅の塗り替え工事にそのまま当てはまる基準ではありません。お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。

よくある質問

タイル張りの外壁は、そのまま塗装できますか

できるかどうかは、タイルの浮きやひび割れの状態で決まります。建築研究所の建築研究資料第145号は、浮きやひび割れが見つかったときは、まず状態を調べて改修の方法を選ぶとしています。塗装を提案されたときは、浮きの調査結果と、塗装の前に補修する範囲を見積書に書いてもらってください。

コンクリート打ち放しの外壁を塗装するとき、見積で何を見ればよいですか

国総研資料第1182号は、仕上塗材の劣化調査の項目に、種類、層構成、付着性、ひび割れ、エフロレッセンス(白華)などを挙げています。見積書では、下地の補修(ひび割れ、白華、浮き)の項目と、塗料名・塗り回数が分けて書かれているかを見ます。

外壁がタイルかコンクリート打ち放しか分からないときは、どうすればよいですか

新築時の図面や仕様書、見積書の外壁材の記載で確かめられます。分からないときは、現地調査のときに外壁の仕上げの種類を業者に説明してもらい、見積書に書いてもらえるかを聞きます。