足場の数量を決める「周りの長さ×高さ」(階数との違い)
国土交通省の公共建築数量積算基準(令和5年改定)は、外部本足場の数量を「足場の中心の水平長さと構築物等の上部までの高さによる面積」と定めています。足場の中心は、外壁面から1.0mの位置が標準です。最上部には安全手すりを設け、その数量は足場の水平長さとされています。階数は式に出てこず、高さだけが効きます。したがって、同じ平面の家なら、足場の面積は高さに比例して増えます。
この基準は国の公共建築工事の積算ルールで、民間の外壁塗装の見積がこの式で作られているとは限りません。見積の足場の㎡数が妥当な範囲かを、自分で概算して照らす材料として使います。
外壁8m×6mの家で、2階建と3階建を比べる
平面が8m×6mの家を例に、上の式を当てはめます。高さは説明のための仮定で、実際の家の軒の高さや屋根の形で変わります。
| 項目 | 2階建の例 | 3階建の例 |
|---|---|---|
| 足場の中心の水平長さ | 2×(8+2×1.0)+2×(6+2×1.0)=36m | 同じ36m |
| 構築物の上部までの高さ(仮定) | 6m | 9m |
| 足場の数量(水平長さ×高さ) | 36×6=216㎡ | 36×9=324㎡ |
| 安全手すりの数量(水平長さ) | 36m | 36m |
高さが6mから9mへ1.5倍になると、足場の数量も216㎡から324㎡へ1.5倍になります。一方、水平長さと安全手すりは階数が変わっても増えません。見積書で足場が「㎡」で書かれていれば、自分の家の外周と高さからこの式で概算し、業者の数量と大きく離れていないかを確かめられます。離れているときは、足場の範囲(全周か一部か)や高さの前提を業者に聞きます。
2階建・3階建の見積で、書かれているか確かめる項目
階数が変わっても、見積で確かめる項目の種類は同じです。変わるのは、足場の㎡数と高さの値です。金額は載せていません。
| 確かめる項目 | 2階建の見積 | 3階建の見積 |
|---|---|---|
| 足場の㎡数 | 水平長さ×高さで概算した値と比べる(上の例は216㎡) | 同じ式で比べる(上の例は324㎡) |
| 足場の高さの前提 | 何mか、屋根や破風の上まで届くか | 何mか、屋根や破風の上まで届くか |
| 安全手すり | 水平長さ(上の例は36m)で書かれているか | 水平長さ(上の例は36m)で、階数が増えても長さは同じか |
| 人工(人数×日数) | 人数と日数が書かれているか | 人数と日数が書かれているか。足場の高さが増えた分が、日数にどう出ているかを聞く |
| 高さ5m以上の足場の扱い | 高さの仮定が5m以上なら、組立て・解体に作業主任者が選任されるか聞く | 高さの仮定が5m以上なら、同じく聞く |
表は見積に書かれているべき項目を示すもので、書かれていないことが不適正を意味するわけではありません。書かれていなければ、理由を業者に聞きます。塗料の回数や仕様は、メーカーの仕様書で確かめられない限り、このページでは扱いません。
足場の高さの前提を、見積書で確かめる
労働安全衛生規則第518条第1項は、高さ2m以上で墜落のおそれがある作業には、足場などで作業床を設けるよう求めています。労働安全衛生法施行令第6条第15号は、高さ5m以上の足場の組立て・解体・変更を、作業主任者を選任する作業としています(e-Gov法令検索)。条文は階数でなく高さで書かれているので、見積では次の点を確かめます。
- 足場の㎡数は、水平長さ×高さの式で自分が概算した値と近いか
- 見積の足場の高さは何mで、屋根や破風の上まで届く前提か
- 隣家との間が狭い面など、足場の形が変わる面はあるか
人工(人数×日数の欄)の読み方は見積書の人工・日当の読み方、足場の項目全体は足場項目の確認ページ、条文は足場と労働安全衛生規則のページにあります。
このページでできないこと
足場代の相場や、1㎡あたりの単価は示しません。個別の見積が適正かどうかの判定や、業者の紹介もしません。県ごとの塗装工日額は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。
出典: 国土交通省「公共建築数量積算基準」(令和5年改定、PDF)の仮設工事の章、労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)。確認日 2026-10-13。
よくある質問
3階建の足場は、2階建の何倍になりますか
同じ平面の家なら、足場の数量は高さに比例します。例として高さを6mと9mと仮定すると、足場の数量は216㎡と324㎡で1.5倍です。実際の高さは家ごとに違うので、見積の足場の高さと㎡数を業者に聞きます。
足場の㎡数は、どう概算しますか
国の公共建築数量積算基準は、足場の中心の水平長さ×構築物の上部までの高さを数量とします。足場の中心は外壁から1.0mの位置が標準なので、外周に8m(両側1.0mずつ)を足した長さに高さを掛けます。民間の見積がこの式どおりとは限らず、離れていれば理由を聞きます。
3階建は、足場の法令上の基準が変わりますか
条文は階数でなく高さで書かれています。高さ2m以上の作業に作業床を求める第518条や、高さ5m以上の足場に作業主任者を求める施行令第6条第15号などです。何mの足場になるかは家ごとに違います。
自分で塗る場合に見積のどの行が残るかは、自分で塗る場合と業者見積の比較で条文から確かめられます。足場以外も含む見積の項目の全体は見積の項目別チェックリスト、業者に聞く内容は契約前に業者へ聞く質問リストにあります。
塗装回数や工期が天候で延びたときの扱いは雨天・悪天候で工期が延びたときの取り決め、着工前の近隣への連絡は着工前の近隣あいさつの確かめ方で確かめられます。
