日額が表すもの: 公共工事の積算に使う1日分の単価
塗装工の日額は、農林水産省と国土交通省が、公共工事の工事費を積算するために定めた単価です。令和8年3月適用の単価表は、日額を次の2つの合計と説明しています。
| 構成 | 対象となる単位 |
|---|---|
| 基本給相当額と基準内手当(その職種の通常の作業内容・作業条件の労働に対する手当) | 所定労働時間内の8時間あたり |
| 臨時の給与と実物給与 | 所定労働日数の1日あたり |
賞与にあたる臨時の給与も、1日あたりに割り振られた形で日額に入っています。そのため、日額は「その日の賃金」だけではなく、1日あたりに換算された臨時の給与なども含む数字です。出典: 農林水産省・国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価表」の1・2(確認日 2026-10-14)。
日額に稼働日数を掛けた金額の見方
日額に日数を掛けると金額は出ますが、年収として読める根拠は国の資料にありません。次の表は、全国47都道府県の塗装工日額の単純平均30,760円(令和8年3月適用)に、仮の日数を掛けた計算上の合計です。仮の日数は説明のために置いたもので、塗装職人の実際の稼働日数を示すものではありません。
| 仮に置いた日数 | 30,760円 × 日数 | 読み方 |
|---|---|---|
| 200日 | 6,152,000円 | 計算上の合計 |
| 220日 | 6,767,200円 | 計算上の合計 |
| 240日 | 7,382,400円 | 計算上の合計 |
この表の金額は、職人の年収、会社の売上、見積の人件費のいずれでもありません。日数が20日ちがうだけで合計は600,000円以上動くため、日額だけでは年間の金額を決められないことの確認用です。東京都は36,500円、山口県は25,900円です。都道府県ごとの日額は47都道府県の塗装工日額 一覧で確認できます。
計算例: 東京都・全国単純平均・山口県で220日を掛けたとき
日額の高い県と低い県で、同じ仮の日数を掛けたときの差を示します。日額はいずれも令和8年3月適用の一般の塗装工の単価です。
| 地点 | 日額 | 日額 × 200日 | 日額 × 220日 | 日額 × 240日 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 36,500円 | 7,300,000円 | 8,030,000円 | 8,760,000円 |
| 全国単純平均 | 30,760円 | 6,152,000円 | 6,767,200円 | 7,382,400円 |
| 山口県 | 25,900円 | 5,180,000円 | 5,698,000円 | 6,216,000円 |
220日で比べると、東京都と山口県の計算上の合計は2,332,000円ちがいます。これは日額の差10,600円に220日を掛けた値で、地域による日額の差が日数を掛けるほど大きく見えることを示すだけです。どの地点の表も、実際の稼働日数や手取りを表すものではありません。
日額から分からない4つのこと
年収を考えるときに必要でも、国の単価表から読み取れないことを、確認できた範囲で並べます。
| 気になる点 | 国の単価表で確認できたこと | 確認できなかったこと |
|---|---|---|
| 雨で休んだ日 | 日額は所定労働時間内8時間あたりの単価(注記2) | 天候で作業できなかった日の扱いの記載 |
| 社会保険 | 法定福利費(事業主負担分)は積算上、現場管理費等に含まれる(注記5)。決定にあたり、法定福利費相当額を反映しているとも書かれている(本文1) | 本人が負担する保険料や税、手取りの金額 |
| 道具・材料 | 注記に道具や機械の費用を含むとの記載はない | 道具代を日額に含めるかどうか |
| 残業・休日の収入 | 時間外・休日・深夜の割増賃金と、通常の作業条件を超えた労働への手当は含まれない(注記3) | 割増を含めた実際の収入 |
出典: 農林水産省・国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価表」(確認日 2026-10-14)。道具や機械の費用、天候による休みについては、本文と注記に該当する語を探しましたが見当たりませんでした。見当たらないことは、含まれないと決まっていることとは別です。
日額に含まれるもの・含まれないものは塗装工日額に含まれるもの・含まれないもの、日額を8で割る読み方は塗装工の労務単価を1時間あたりで読む(日額÷8の目安と注意点)にまとめています。
見積書の人件費と並べるときの注意
見積書の人件費の行に「人工」と日数が書かれているとき、その金額は国の日額の何倍か、という見方をしたくなります。ただし、見積書の金額には、会社の経費や利益、材料や道具の費用が含まれていることがあり、含み方は見積書ごとに違います。人工と日当の行の読み方は見積書の人工・日当の読み方、項目の意味は見積書の現場管理費・法定福利費・一般管理費・諸経費の意味にあります。
このページでできないこと
塗装職人の実際の年収や手取りの推計、年間の稼働日数の目安の提示はできません。国の単価表は、日額の算定の基になった賃金の実態調査を踏まえたものですが、個々の職人の年収を示す資料ではありません。見積の人件費が高い・安いかの判定や、日額から1平方メートルあたりの単価を出すこともしません。塗装工事は市場単価で積算され、国の標準歩掛りが公的に存在しないためです。賃金の下限の考え方は塗装工の労務単価と都道府県の最低賃金の違いに、出典と確認日はデータの出典にあります。
よくある質問
塗装工の労務単価の日額に年間の稼働日数を掛けると、職人の年収になりますか
なりません。日額は公共工事の工事費を積算するための単価で、所定労働時間内8時間あたりの賃金と所定労働日数1日あたりの臨時の給与などの合計です。実際の稼働日数、雨で休んだ日、会社が負担する費用、本人が負担する税や保険料は日額から分かりません。日額に日数を掛けた数字は、計算上の合計にすぎません。
東京都と山口県の塗装工日額に同じ日数を掛けると、合計はどのくらいちがいますか
令和8年3月適用の日額は東京都36,500円、山口県25,900円で、差は10,600円です。仮に220日を掛けると東京都は8,030,000円、山口県は5,698,000円で、差は2,332,000円になります。仮の日数による計算上の合計で、職人の年収や見積の人件費を示すものではありません。
雨で作業できなかった日の賃金は、労務単価の日額に含まれていますか
国の令和8年3月適用の単価表の注記と構成の説明には、天候で作業できなかった日の扱いは書かれていませんでした。含まれるとも含まれないとも読めないため、日額から雨の日の収入は推し量れません。
労務単価の日額には、社会保険料や道具代が含まれていますか
国の単価表は、法定福利費の事業主負担分と研修訓練等の費用を、積算上は現場管理費等に含まれるものとして日額に含めていません。道具代についての記載は、この単価表には確認できませんでした。職人本人が何を負担するかは、雇われているか請け負っているかなどで変わるため、日額だけでは分かりません。
建設キャリアアップシステム(CCUS)の記録内容と能力評価のレベルはCCUSで外壁塗装の職人の技能を契約前に確かめる項目で整理しています。職人の資格や経験の段階と日額の関係は、外壁塗装の見積と地域係数のよくある質問の建設キャリアアップシステム(CCUS)の問いでも扱っています。
