国の単価は「所定の8時間あたり」の日額
国の令和8年3月適用の資料は、公共工事設計労務単価(以下、労務単価)を「基本給相当額」「基準内手当」「臨時の給与」「実物給与」の合計と説明しています。このうち基本給相当額と基準内手当は所定労働時間内の8時間あたり、臨時の給与と実物給与は所定労働日数の1日あたりの金額です。つまり塗装工の日額は、1日の所定の働き方に対する単価で、時間単位で決められた金額ではありません。
出典: 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」の「公共工事設計労務単価の構成」(確認日 2026-10-09)。
日額を8で割った1時間あたりの目安
日額を比べやすくするために8で割ると、次の表のようになります。日額と全国単純平均は令和8年3月適用の単価表の値で、割り算の結果は小数点以下を四捨五入していません(0.5円の端数が出る県があります)。
| 区分 | 塗装工日額 | 8で割った目安 |
|---|---|---|
| 東京都 | 36,500円 | 4,562.5円 |
| 大阪府 | 32,300円 | 4,037.5円 |
| 北海道 | 30,100円 | 3,762.5円 |
| 沖縄県 | 29,800円 | 3,725円 |
| 山口県 | 25,900円 | 3,237.5円 |
| 47都道府県の単純平均 | 30,760円 | 3,845円 |
全国単純平均に対する差の割合は、日額でも8で割った後でも同じです。たとえば東京都は日額が平均より18.7%高く、8で割った目安も平均より18.7%高くなります。県どうしを比べるときは日額のまま比べても同じ結論になるので、8で割る操作が必要なのは、見積書の単位が時間のときだけです。47都道府県の日額は47都道府県の塗装工日額 一覧で確認できます。
8で割った金額を時給として読めない理由
- 日額には、1日あたりで計上される臨時の給与(賞与など)と実物給与(食事の支給など)が含まれています。時給の計算に使う賃金だけを取り出した金額ではありません。
- 国の単価表は、時間外・休日・深夜の割増賃金、通常の作業条件を超えた労働への手当、現場管理費(法定福利費の事業主負担分、研修訓練等の費用など)、一般管理費等の諸経費を、労務単価に含まれないものとしています。
- 労務単価は公共工事の積算に使う設計上の単価です。職人が実際に受け取る賃金や、塗装会社が請求する作業単価そのものではありません。
含まれないものの詳細は塗装工日額に含まれるもの・含まれないもの、日額の構成は労務単価の構成と割増の積算式で説明しています。
残業や休日の1時間を日額÷8で出してはいけない
国の単価表は、割増賃金を「労務単価 × K × 割増する時間数」で積算するとしています。Kは1時間あたりの割増賃金係数で、「割増対象賃金比 × 1/8 × 割増係数」で表されます。このうち1/8が、日額を1時間あたりに直す部分です。ここに割増対象賃金比と割増係数が掛かるので、日額を8で割っただけの金額には、割増の基礎になる賃金の割合も割増の率も入っていません。そのため、残業1時間の単価としては使えません。塗装工のKの数値は、このサイトでは確認していないので載せていません。
見積書の時間単位の金額と並べるときの注意
見積書に「人工(にんく)」や時間単位の作業単価が書かれていても、その金額に何が含まれるかは見積書ごとに異なるため、業者に確かめる必要があります。上の目安より高いか低いかで見積の適正・不適正は判断できません。このサイトは、地域による賃金水準の違いを知るための参考情報として、日額と全国単純平均との比を載せています。見積書の項目の確かめ方は外壁塗装の見積書の内訳の見方、金額を地域係数で引き直す方法は見積総額の引き直し計算例にあります。
1時間あたりで読むときのよくある質問
塗装工の労務単価を8で割ると、職人の時給になりますか
なりません。日額には1日あたりで計上される臨時の給与と実物給与が含まれ、職人本人の時給や手取りを示す金額ではありません。8で割った値は、日額を比べやすくした目安です。
残業1時間の単価は、日額÷8で出せますか
出せません。割増賃金は、国の積算では「労務単価 × K × 割増する時間数」で計算します(Kは割増対象賃金比 × 1/8 × 割増係数)。日額を8で割っただけの金額には、割増の率が入っていません。
1時間あたりの目安に、現場管理費や会社の利益は含まれますか
含まれません。法定福利費の事業主負担分や研修訓練等の費用を含む現場管理費と、一般管理費等の諸経費は、国の単価表では労務単価に含まれないとされています。経費の用語は見積書の現場管理費・法定福利費・一般管理費・諸経費の意味で確認できます。
日額に稼働日数を掛けて年収として読めるかは塗装工の労務単価の日額と職人の年収の違いで確かめられます。
このページでできないこと
個別の見積の時間単価が適正かどうかの判定や、職人の実際の賃金の推計はできません。塗装業者の紹介もしません。出典と確認日はデータの出典をご覧ください。用語は労務単価まわりの用語集で1語ずつ確認できます。
お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。たとえば東京都、愛知県、大阪府、福岡県のページがあります。
次に読む2ページ
- 塗装工の労務単価と都道府県の最低賃金の違い(対象・決め方・日額と時給)
- 付帯部の塗装は労務単価でどこまで比べられるか
- 見積書の法定福利費の内訳明示:算出式と対象の保険
- 塗装工日額に必要経費を加えた参考値(法定福利費の事業主負担分・労務管理費など)
- 見積の人件費部分を県の日額と照らす手順(人工あり・なしの2経路)
日額と見積の総額の関係で迷ったときは、外壁塗装の見積と地域係数のよくある質問の「見積の総額には、塗装工の日額がそのまま入っていますか」が参考になります。
