民法でできること(契約の内容に合わない仕事の目的物)
外壁塗装の契約は、民法では請負にあたります。引き渡された塗装工事の仕上がりが、契約で決めた種類や品質に合っていないとき、注文者は次の4つを請負人(業者)に求められる場合があります。
| できること | 内容 |
|---|---|
| 履行の追完の請求 | 契約に合うように直してもらう(補修など) |
| 報酬の減額の請求 | 代金を減らすよう求める |
| 損害賠償の請求 | 不具合で生じた損害の賠償を求める |
| 契約の解除 | 契約をやめる |
請負の節の第636条・第637条は、この責任の制限と期間を定めています。追完などを求める根拠としては、民法第559条が、売買の節の規定(追完請求権を定める第562条など)を、売買以外の有償契約にも、契約の性質が許さない場合を除いて準用すると定めています。この準用により、請負でも売買と同じ形で追完や報酬の減額を求められる場合があります。
ただし、不具合が注文者の供した材料の性質や、注文者の与えた指図によって生じたときは、原則として、その不適合を理由にこれらを求められません(民法第636条)。ただし書で、業者がその材料や指図が不適当であると知りながら告げなかったときは、この限りでないとされています。
知った時から1年以内に通知する(民法第637条)
民法第637条第1項は、種類または品質の不適合について、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、上の4つのすべてを求められなくなると定めています。
- 数える起点は、引渡しの日ではなく、注文者が不適合を知った時です。
- 1年以内に必要なのは「通知」です。通知の方法(口頭か書面か)は、条文には書かれていません。後で確かめられるよう、日付が残る形で伝えておく方法があります。
- 同条第2項は、引渡しの時(引渡しを要しない場合は仕事が終了した時)に、請負人が不適合を知っていたか、重大な過失によって知らなかったときは、第1項を適用しないと定めています。
この期間は、民法の定めです。契約書や約款で別の期間が決められている場合は、契約書の定めも確かめる必要があります。個別の契約で民法と異なる定めが有効かどうかは、条文だけでは判定できません。
出典: 民法第559条・第562条・第636条・第637条(e-Gov法令検索、確認日 2026-10-11)。
業者の保証書は民法とは別の約束
外壁塗装の工事後に渡される保証書は、民法の責任とは別に、業者が契約や約款で約束するものです。保証書に「10年保証」のような年数があっても、それが民法の通知期間と同じ意味とは限りません。確かめる点は次のとおりです。
- 保証の対象はどの不具合か(塗膜のはがれ・膨れ・変色など、書面ごとに違います)。
- 年数は、どの部位・どの塗料・どの工程に対するものか。
- 対象外(天災・経年劣化・注文者の使い方など)として何が書かれているか。
- 不具合に気づいたときの連絡先と、連絡の方法・期限が書かれているか。
保証書があっても、民法の通知期間が使えなくなるかどうかは、書面の文言によります。保証書と契約書の両方を読んで、どちらの約束を使うかを業者に確かめてください。契約書に書く事項は外壁塗装の契約書に書く事項にまとめています。
契約前・工事後に確かめる質問
- 工事後の不具合は、民法の請負の責任と保証書のどちらで対応するか。
- 保証書は契約前に見せてもらえるか。保証の対象・年数・対象外はどう書かれているか。
- 不具合に気づいたとき、誰に・どの方法で連絡するか。
- 連絡の日付を、書面やメールなど後から確かめられる形で残せるか。
契約前に聞く質問の全体は契約前に業者へ聞く質問リストに、支払の時期の条文は手付金・前払い・支払時期にあります。
剥がれ・膨れ・色ムラ・ひび割れを見つけたときの連絡と記録は塗装後の症状別の連絡と記録で扱っています。
このページでできないこと
個別の不具合が契約不適合にあたるか、保証書の免責が有効かどうかの判定はしません。トラブルの相談先は見積に迷ったときの公的な相談窓口にあります。お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。
よくある質問
外壁塗装の工事後に不具合が見つかったら、いつまでに業者へ伝えればよいですか
民法第637条第1項は、引き渡された仕事の目的物が種類または品質について契約の内容に適合しない場合、注文者がその不適合を知った時から1年以内に請負人へ通知しないときは、追完の請求・報酬の減額の請求・損害賠償の請求・契約の解除ができなくなると定めています。不具合に気づいたら、期間を待たずに早めに業者へ伝えてください。
業者の保証書に10年とあれば、民法の1年の通知期間は関係ありませんか
保証書は民法とは別に、業者が契約や約款で約束するものです。保証の対象・年数・免責は書面ごとに違い、民法の通知期間と同じとは限りません。保証書と契約書の両方を読んで、どちらの約束を使うかを業者に確かめてください。個別の書面の効力は、この条文だけでは判定できません。
このページの期限を、見積の有効期限・手付・支払時期・不具合の通知期間と並べた表は見積から工事後までの期限の一覧にあります。
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通知しても業者と折り合えないときの裁判外の手続は「建設工事紛争審査会は外壁塗装の不具合・代金の争いに使えるか」で整理しています。
契約前に確かめる他の制度は契約前に確かめる制度の早見表にまとめています。
契約内容に合わない仕上がりが後から見つかったときに備え、保険の対象と期間を契約前に確かめる点はリフォームかし保険の仕組みと確かめる点にまとめています。
