民法の原則は「引渡しと同時」に払う
外壁塗装の契約は、民法では「請負」にあたります。請負は、業者が仕事を完成することを約し、注文者がその結果に対して報酬を支払うことを約する契約です(民法第632条)。
報酬の支払時期について、民法第633条は、仕事の目的物の引渡しと同時に支払うと定めています。つまり、何も決めなければ、工事が終わって引き渡されるときに払うのが原則です。ただし、契約で前金払などを決めることはできます。
手付金の規定
民法第557条は、売買の手付について、買主が手付を交付したときは、相手方が契約の履行に着手するまでの間、買主は手付を放棄して、売主は倍額を提供して、契約を解除できると定めています。
この規定は売買の節にあります。民法第559条は、この節の規定を売買以外の有償契約にも、契約の性質が許さない場合を除いて準用すると定めています。外壁塗装の契約書に「手付金」の欄があるときは、解除できる条件がどう書かれているかを、契約前に業者に確かめてください。
手付とは別に、民法第641条は、請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できると定めています。
契約書に書く支払条件(建設業法第19条)
| 契約書面に書く事項 | 条文の文言 | 条 |
|---|---|---|
| 前金払・出来形払 | 請負代金の全部または一部の前金払または出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期および方法 | 第19条第1項第5号 |
| 完成後の支払 | 工事完成後における請負代金の支払の時期および方法 | 第19条第1項第12号 |
| 検査と引渡し | 注文者が工事の完成を確認するための検査の時期および方法ならびに引渡しの時期 | 第19条第1項第11号 |
| 債務不履行の損害金 | 履行の遅滞その他の債務不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金 | 第19条第1項第14号 |
これらの事項は、建設工事の請負契約の当事者が、契約の締結に際して書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付しなければならないとされています(第19条第1項)。16項目の全体は外壁塗装の契約書に書く事項にまとめています。
出典: 民法第632条・第633条・第557条・第559条・第641条、建設業法第19条(e-Gov法令検索、確認日 2026-10-11)。
解除したときの違約金の上限
消費者契約法第9条第1号は、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額や違約金の合計が、同種の契約の解除で事業者に生じる平均的な損害の額を超える場合は、その超える部分を無効とすると定めています。また同条第2号は、代金の支払が遅れた場合の損害賠償や違約金について、年14.6パーセントを超える部分を無効としています。
契約書の違約金の定めがこれに当たるかは、条文だけでは判定できません。契約書を確認したうえで、消費生活センターなどに確かめてください。出典: 消費者契約法第9条(e-Gov法令検索、確認日 2026-10-11)。
契約前に業者へ聞く質問
- 代金の支払はいつ、何回に分けて、どの方法か。契約書のどこに書いてあるか。
- 手付金や前金を求める場合、その金額と理由は何か。工事のどの段階までに必要か。
- 手付金は、契約を解除するときにどう扱われるか。解除できる期限はいつまでか。
- 工事が予定より遅れたときや、業者の都合で中止したときの前金の扱いはどうなるか。
- 完成後の検査と引渡しはいつ行い、最後の支払はその前か後か。
契約前に聞く質問の全体は契約前に業者へ聞く質問リストに、契約前に受け取る書類は契約前に受け取る書類の一覧にあります。訪問販売で契約した場合の撤回はクーリング・オフに、工事後の不具合を知らせる期間は契約不適合責任に条文でまとめています。
支払い方法(カード・現金・銀行振込)ごとの確認点は外壁塗装の支払いはクレジットカード・現金・銀行振込のどれかにあります。
このページでできないこと
個別の契約の手付金や前払いの額が適切かどうか、契約が有効かどうかの判定はしません。支払条件についての相談先は見積に迷ったときの公的な相談窓口にあります。お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。
よくある質問
外壁塗装の代金は、いつ払うのが原則ですか
民法第633条は、報酬は仕事の目的物の引渡しと同時に支払うと定めています。ただし、契約で前金払や出来形に応じた支払を決めることはでき、建設業法第19条は、その場合の支払の時期と方法を契約書面に書くよう求めています。
手付金を払ったあとで契約をやめられますか
民法第557条は、売買で買主が手付を交付したとき、相手方が履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し、売主は倍額を提供して解除できると定めています。この規定は第559条により、売買以外の有償契約にも、性質が許す範囲で準用されます。契約書の手付の定めと実際の扱いは、契約前に業者へ確かめてください。
契約を解除したときの違約金に上限はありますか
消費者契約法第9条第1号は、解除に伴う損害賠償の額や違約金の合計が、同種の契約の解除で事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分を無効としています。個別の契約の違約金が当てはまるかは、消費生活センターなどの公的な窓口に確かめてください。
このページの期限を、見積の有効期限・手付・支払時期・不具合の通知期間と並べた表は見積から工事後までの期限の一覧にあります。
完了検査・引渡し・残金の支払いの順序は外壁塗装の工事完了時の確認にあります。
次に読む2ページ
国の標準約款で支払いの時期がどう書かれているかは民間建設工事標準請負契約約款(乙)の読み方にあります。
分割払い・リフォームローンにする場合の確認は外壁塗装の分割払い・リフォームローンにあります。
契約後・工事中に業者が倒産や連絡不能になったときの備えは外壁塗装の業者が工事中に倒産したとき前払い金と未完成の工事を確かめる点にあります。
