工期が遅れたときの民法の定め
工期は、業者が仕事を終えて引き渡す約束の期限です。契約書にその日が決まっていれば、民法第412条第1項により、業者はその期限が来た時から遅れの責任を負います。遅れによって生じた損害は、第415条第1項により請求できます。
| 条文 | 定め |
|---|---|
| 第412条第1項 | 確定期限がある債務は、期限が来た時から遅滞の責任を負う |
| 第415条第1項 | 債務が本旨に従って履行されないとき、債権者は損害賠償を請求できる。債務者の責めに帰することができない事由による場合は除く |
| 第420条第1項 | 当事者は、債務不履行の損害賠償の額を予定できる |
| 第541条 | 相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行が無いとき契約を解除できる。ただし不履行が軽微なときは除く |
契約書に「1日あたり○円」のような額が書かれていれば、第420条の損害賠償額の予定にあたります。書かれていなければ、遅れで実際に生じた損害(仮住まいの追加費用など)を示して請求する形になります。このサイトは、個別の遅れについて請求できるか、いくらになるかを判定しません。
出典: e-Gov法令検索「民法」第412条、第415条、第420条、第541条(確認日 2026-10-15)。
「遅延損害金」が2つの向きで出てくる
契約書の「遅延損害金」は、遅れる側によって別の話になります。
- 工事の完成が遅れた場合は、業者が施主に払う損害賠償です。上の第415条と、契約書に額があれば第420条が根拠です。
- 代金の支払いが遅れた場合は、施主が業者に払う遅延損害金です。金銭を払う債務の遅れは、民法第419条により、損害の証明が要らない代わりに法定利率(または約定利率が高ければそれ)で計算するのが原則です。
施主が代金を遅れて払う場合の率には、消費者契約法第9条第1項第2号が上限を置いています。消費者が支払期日までに払わないときの損害賠償額や違約金を合算した額が、支払期日の翌日から支払日までの日数に応じ、年14.6パーセントの割合で計算した額を超える部分は無効です。契約書に代金の遅延利率が書かれているときは、この数字と見比べます。
出典: e-Gov法令検索「民法」第419条、e-Gov法令検索「消費者契約法」第9条(確認日 2026-10-15)。
契約書で確かめる3点
- 工期の書き方。着工日と完成日、または日数が書かれているかを見ます。期限が曖昧だと遅れの起点が分かりにくくなります。工程表や日数の聞き方は工事日数と工程表の確かめ方にあります。
- 天候・延長の条項。雨や強風の日の扱い、工期を延ばせる事由とその連絡の方法が書かれているかを見ます。民法第415条のただし書きがあるため、業者の責任でない遅れは損害賠償から外れる場合があります。どの場合が外れるかは契約書と実際の状況で変わります。
- 遅れたときの定め。業者が遅れたときの日額などの額、施主が払う代金が遅れたときの率の両方が書かれているかを見ます。片方だけが重く書かれていないか、読み比べます。
契約後に解約したいときの確認点は契約後の解約の契約書の条項に、契約書の記載事項は契約書の記載事項にあります。契約前後の確認の全体は契約前に確かめる制度の早見表から選べます。
契約や工事の遅れで困ったときの公的な窓口は見積に迷ったときの公的な相談窓口にあります。
このページでできないこと
民法と消費者契約法の条文の紹介にとどまります。個別の遅れが業者の責任か、損害賠償をいくら請求できるかの判定はしません。個別の見積や契約書が適正かどうかの判定も、塗装業者の紹介もしません。お住まいの県の塗装工日額は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。
よくある質問
外壁塗装の工期が遅れたら遅延損害金を請求できますか
民法第415条第1項は、債務が本旨に従って履行されないとき、債権者が損害賠償を請求できると定めています。ただし、業者の責めに帰することができない事由による場合は除かれます。金額は実際の損害によるか、契約書で予定した額によります(確認日 2026-10-15)。
契約書に遅延損害金の日額が書かれていないときはどうなりますか
民法第420条は、損害賠償の額を予定できると定めています。契約書に日額などの予定が無ければ、第415条に基づき、遅れによって生じた実際の損害を示して請求する形になります。個別の請求の可否と額は、このサイトでは判定しません。
雨や天候で工事が延びたときも遅延損害金は発生しますか
民法第415条第1項ただし書きは、債務者の責めに帰することができない事由による不履行を除いています。天候による延びがこれにあたるかは、契約書の天候や延長の条項と実際の状況で変わるため、契約前に条項の有無を確かめます。
工期が雨で延びる場合の日数・費用・支払いの取り決めは雨天・悪天候で工期が延びたときの取り決め、保険の仕組みはリフォームかし保険の仕組みと確かめる点、工期中の近隣への連絡は着工前の近隣あいさつの確かめ方にあります。
