工事費の並びと労務単価の範囲(早見表)
国土交通省の公共建築工事積算基準は、工事費を「直接工事費」「共通費」「消費税等相当額」に分け、共通費を「共通仮設費」「現場管理費」「一般管理費等」に分けています。公共工事設計労務単価(塗装工日額)は職人に支払われる賃金の水準で、現場管理費(法定福利費の事業主負担分など)と一般管理費等の諸経費は含まれないと注記されています。各区分の位置づけは次のとおりです。
| 区分 | 国の基準での定義 | 塗装工日額との関係 |
|---|---|---|
| 直接工事費 | 工事目的物を造るために直接必要とする費用で、直接仮設に要する費用を含む | 労務費の行は日額と並べられる。ただし日額は賃金のみで、材料費などは別 |
| 共通仮設費 | 各工事種目に共通の仮設に要する費用 | 日額には含まれない |
| 現場管理費 | 工事現場を管理運営するために必要な費用で、共通仮設費以外の費用 | 日額には含まれない |
| 一般管理費等 | 受注者の継続運営に必要な費用で、一般管理費と付加利益等からなる | 日額には含まれない |
出典: 国土交通省「公共建築工事積算基準」(mlit.go.jp・PDF、第2・第3・第5・第6)、確認日 2026-10-09。日額の注記は農林水産省・国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価表」(PDF)です。この基準は国の公共建築工事の積算用で、民間の住宅の見積書の書き方を定めたものではありません。
塗装工日額と並べられる費用の範囲(直接工事費の中の労務費)
基準の工事費の構成は、直接工事費と共通費(共通仮設費・現場管理費・一般管理費等)を足したものが工事価格で、これに消費税等相当額が加わる並びです。このうち塗装工日額と同じ種類の金額は、直接工事費の単価に含まれる労務費の部分だけです。共通費の3区分は、日額の注記が「含まれない」とする側にあります。
見積書の「現場管理費」「諸経費」の行を日額と比べても、同じものどうしの比較になりません。まず労務費・人工の行を探し、その行が賃金だけの金額かを確かめます。見積書ごとの用語の違いは現場管理費・法定福利費・一般管理費・諸経費の意味で説明しています。
計算例: 見積総額のうち日額と並べられる行を拾う(仮の見積)
次の見積は説明のために作った仮の数字で、実際の工事費の内訳や割合を示すものではありません。見積総額のうち、塗装工日額と並べられるのは労務費の行だけであることを確かめる例です。
| 仮の見積の行 | 仮の金額 | 国の基準の区分 | 塗装工日額と並べられるか |
|---|---|---|---|
| 塗装の人件費(職人2人×6日=12人工) | 450,000円 | 直接工事費の労務費 | 並べられる |
| 塗料・資材 | 300,000円 | 直接工事費の材料費 | 並べられない(材料) |
| 諸経費 | 150,000円 | 共通費(内訳しだい) | 並べられない |
| 見積総額(税抜) | 900,000円 | - | - |
人件費の行は12人工なので、1人工あたりは450,000円÷12=37,500円です。令和8年3月適用の東京都の塗装工日額は36,500円で、並べて見られるのはこの1行だけです。見積総額の900,000円を日額で割っても、人工数にはなりません。ただし、この1人工あたりの金額には、会社の経費や利益が入っているかどうかが見積書から分からないため、差を適正・不適正の判断に使うことはできません。行の内訳を業者に質問する材料にしてください。
見積書の行を区分に当てはめるときの注意
- 見積書の「諸経費」は、国の基準に区分名として出てきません。現場管理費と一般管理費をまとめた行にも、運搬費や廃材処分費を加えた行にも使われるため、行の内訳で判断します。
- 基準は、直接工事費に「直接仮設に要する費用」を含め、共通仮設費を「各工事種目に共通の仮設」としています。見積書の仮設の行がどちらにあたるかは、書き方によって違います。
- 見積書が国の区分と同じ名前・同じ並びとは限りません。区分が分からない行は、行の名前ではなく内訳を業者に質問する材料になります。
工事費の区分は、発注の仕組みによって見積の範囲が変わります。賃貸アパート・貸家の見積は国交省ガイドブックの事例で見る項目と費用の分け方、マンション大規模修繕との違いは戸建てとマンション大規模修繕の見積での労務単価の地域差の使い分けで確かめられます。管理組合が大規模修繕を発注する流れ(修繕委員会・総会決議・相見積)はマンション管理組合の大規模修繕の発注と見積の見方にあります。
この記事でできないこと
各区分の金額や割合が妥当かどうかは判定しません。区分ごとの率の目安も示しません。個別の見積の適正・不適正の判断や、日額から1平方メートルあたりの単価の算出もしません。
関連するページは3つあります。日額の範囲の決まりは塗装工日額に含まれるもの・含まれないもの、日額と経費の参考値は塗装工日額に必要経費を加えた参考値、見積の内訳の項目は外壁塗装の見積書の内訳の見方にあります。
お住まいの県の日額と参考値は都道府県別の塗装工日額ページの一覧から確認できます。たとえば東京都、愛知県、大阪府、福岡県のページがあります。主要12都道府県を1枚で見比べたいときは主要12都道府県の早見表も使えます。
よくある質問
見積書の現場管理費や諸経費の行は、塗装工日額と比べてよいですか
比べても、同じものどうしの比較になりません。塗装工日額は職人に支払われる賃金の水準で、現場管理費と一般管理費等の諸経費は含まれないと注記されています。まず労務費・人工の行を探し、その行が賃金だけの金額かを確かめます。
塗装工日額と並べてよいのは、見積書のどの部分ですか
直接工事費の単価に含まれる労務費の部分だけです。共通費の3区分(共通仮設費・現場管理費・一般管理費等)は、日額の注記が「含まれない」とする側にあります。
見積総額を塗装工日額で割って、人工数を確かめてもよいですか
できません。見積総額には材料費や共通費も含まれ、塗装工日額と同じ種類の金額は直接工事費の労務費の行だけです。人工数は労務費の行の金額を日額で割って見るもので、その差も適正・不適正の判断には使えません。行の内訳を業者に質問する材料にしてください。
見積書の「諸経費」は、国の基準のどの区分にあたりますか
国の基準に「諸経費」という区分名は出てきません。現場管理費と一般管理費をまとめた行にも、運搬費や廃材処分費を加えた行にも使われるため、行の名前ではなく内訳で判断します。区分が分からない行は、内訳を業者に質問する材料になります。用語は現場管理費・法定福利費・一般管理費・諸経費の意味で説明しています。
